【クラシックカーテスト】これぞまさにキャデラック!1973年製キャデラック エルドラード コンバーチブルは気持ち良さ抜群だった
再び道路へ
最初の数メートル。ステアリングホイールには、貴族的なキャデラックの紋章が刻まれている。その紋章は、なぜか1701年に後にデトロイトに発展する砦を築いたフランス人、キャデラック候ローメ ド ラ モテに遡る。複雑な話だ。 キャデラックが当時オプションとして提供していたレザーシートは、身体に負担を感じることなく、ゆったりと身を沈めることができる。ドライバーの方を向いたコックピットは、横長の巨大なスピードメーターや多くのスイッチ、スライダー、レバー類が配置され、驚くほどダイナミックだ。キャデラックのロゴが入った小さな長方形の時計が時間を測り、そのすぐ横には人工木材にエンボス加工された花の装飾がある。古典的な意味での美しさを感じる必要はない。不条理なタッチは、驚嘆させるのに十分である。特に、経過時間の痕跡がまったくないこの状態では。
V8は静かに、穏やかに、そしてわずかな震動とともに走り出す。ロチェスターの4バレルキャブレターが1つあれば十分で、タンクには102リットルのガソリンがあり、一般的なドライビングスタイルで500kmは走れるはずだ。 ターボハイドラマチックは3つのギアをほとんど気づかないうちに切り換え、522ニュートンメーターのトルクの少なからぬ部分を飲み込むブラックホールもどこかにあるに違いない。それでも、前輪に届くパワーは十分すぎるほどある。オートマチックトランスミッションが初日と同じように機能するのはいいことだ。 この謎めいたキャデラックは、カールスドルフに寄港した後、長い年月を経て、ドバイ経由でイラクのコレクションに新たな住処を見つけたと言われている。最初から奇妙な人生だった。しかし、この異世界からやってきた優しい巨人には、それがよく似合っている。
Thomas Wirth