二階幹事長の東京五輪「中止選択肢」発言が世界に波紋
さらに「五輪の組織委員会は開会式まで100日を迎えた14日に約1万4500人の五輪、パラリンピック選手や数万ものメディア、スポンサー、関係者が参加するだろう大会を『安全で安心』なものとして開催すると主張した。だが、わずか1日後に彼(二階幹事長)の“干渉“がもたらされた」と政府与党内の足並みが揃っていない部分を指摘。 同じく河野太郎行政改革担当相が、テレビ朝日系の番組内で、無観客での五輪開催の可能性について言及したことにも触れ、「五輪行事には海外からの観客は入ることは許されず、日本にいる人々が会場に入ることを認めるかについての決定は今月後半に行われるかもしれない。開催国(日本)の世論は、最近の調査で39.2%が中止するべき、32.8%はIOCが不可能と発言している2度目の延期をするべきと考えており、五輪に対して強く反対の姿勢を示している」と、まだ中止、延期を求める声が強い日本の世論についても紹介した。 米フォーブス誌は「東京五輪は中止されるべきか?政府関係者が(中止の)可能性があると主張」との見出しを取り「日本の与党幹部が、新型コロナウイルスの感染状況が国内で悪化する中で、この夏の東京五輪がまだ中止される可能性があると示唆し、開幕予定まで数カ月で、すでに綱渡りの状況にある大会に新たな疑念を差し込んだ」と伝えた。 記事は、二階幹事長が番組内で行った発言について触れつつ、「木曜日にソーシャルメディアで騒ぎとなった後、二階氏は発言について釈明し、“五輪を安全に開催するために党で取り組む“と繰り返したが『何が何でもオリンピックとパラリンピックを開催するのかと問われれば、それは違う』と言及し、五輪が必ず開催されるとは約束しなかった」と報じた。 そして「1年延期された五輪大会は7月23日に始まる予定だが、開催されるかどうかについては宙に浮いている。五輪アスリートを代表する各団体や日本政府は大会開催について公に(開催への)確信を示し、IOCも、五輪開催に取り組むと繰り返し、今年中止されるのであれば『プランBはない』と明かしている」とも伝え、「政府が私的な見解として中止の可能性を検討し、公衆衛生の専門家は、五輪開催について懸念を表したと報じられたこともあった。ロイター通信は、この1月にスポンサーが不確実な状況の中で五輪へ向けたマーケティングプランを手控えたと伝えていた」と、五輪開催に向けてのネガティブな情報を羅列した。二階幹事長は発言について釈明したが、その効果はなく「中止の選択肢がある」との発言だけが世界中に広がった。 二階幹事長がどういう意図をもって言及したのかはわからない。もしかしたら「政府は世論を無視して五輪開催を推し進めているのではないか?」という批判の声をかわすための発言だったのかもしれないが、開幕まで100日を切ったタイミングで、五輪開催の是非を問う議論に火をつけてしまったことは確かなようだ。