「2024年問題」の影響は「マイナス」が5割超、「物流・建設コスト増加による利益率の悪化」「労務管理」の負担増
東京商工リサーチは6月17日、建設業や運送業などに時間外労働の上限規制が適用された「2024年問題」に関連したアンケート調査の結果を発表した。
「2024年問題」が経営にマイナスの影響を与えていると回答した企業は55.3%。ただ、2023年10月の第1回調査結果(61.9%)と比較すると6.6ポイント減少している。
産業別で見ると、「小売業」はマイナス回答率が55.3%で、前回調査(60.8%)と比べて5.5ポイント低下した。
産業別で「マイナス」と回答したトップは卸売業の65.8%だった。各産業をつないで円滑な流通システムの構築を担う卸売業は、配送コスト上昇への対応や納品スケジュールの見直しを懸念する声が多い。建設業が64.1%、製造業が60.7%、運輸業が60.4%で続いた。
産業を細分化した業種別(回答母数10以上)で見ると、「マイナス」回答の最高は「パルプ・紙・紙加工品製造業」の85.7%。前回1位の「食料品製造業」は75.0%で4位。「各種商品小売業」は73.3%で6位。
「2024年問題」によるマイナスの影響では、「物流・建設コスト増加による利益率の悪化」が71.4%と、前回に引き続きトップだった。 運輸業では、「稼働率の低下による利益率の悪化」が50.7%で最多。全産業、建設業と同様に利益率を懸念する企業が多い。
次いで、「労務管理の煩雑化」が50.0%とほぼ同水準で続いており、この2項目の回答率が50%を超えた。時間外労働の上限規制が適用され、従業員の勤怠状況をより正確に把握する必要があり、厳格な労務管理が求められている。
第2回「2024問題」に関するアンケート調査は、2024年6月3日~10日にインターネットによるアンケート調査を実施、有効回答5099社を集計・分析した。「2024年問題」に関するアンケートは、2023年10月に続き2回目の実施となる。