マレーシアに移住した50代男性が見た地獄。4000万円で購入したコンドミニアムのせいで「破産するかも」
日本との感覚の違いが足かせに…ビジネスで失敗するケースも
中井さんの失敗は厳しい言い方をするならば「身から出た錆」とも言えるかもしれません。しかし、堅実に生活をしていれば海外移住に成功できるかというと必ずしもそうではないという現実もあります。 筆者の知人に東南アジアのある都市で飲食店を開業した和田さん(仮名)という40代男性がいます。現在、東南アジアでは寿司をはじめとした日本食が注目されていることもあり、和田さんのように国外での成功を夢見る飲食店経営者は多いです。 そんな大きな希望を持って海外移住した和田さんでしたが、彼は撤退を余儀なくされました。 「理由は現地の法規制や商慣習に適応できなかったことです。例えば、従業員に働いてもらうマネジメントひとつをとっても日本人と現地スタッフでは感覚が大きく違います。マニュアルを用意しても守らない、遅刻も当然。日本では当たり前にできることも現地では違いました」(和田さん) こうした文化や慣習の違いに適応できずにBさんのビジネスは失敗に終わります。 「開業資金の1500万円はついに回収できませんでした。現在は日本に戻りましたが、40代ということもあり再就職先も限られており、帰国後も厳しい現実が続いています」(和田さん)
ローン返済は月40万円、家賃収入は15万円の大赤字
筆者の周囲にいる海外移住した日本人は不動産や株式投資によって固定収入を得ているという人が多いです。 しかし、その投資によって借金を抱えてしまう事例もあります。 シンガポールからほど近いマレーシア・ジョホールバルに移住した50代男性の美濃田さん(仮名)はまさに投資によって失敗してしまったケースです。 「ジョホールバルでは2006年からスタートしたイスカンダル計画という大規模な開発計画があります。ジョホールバルはシンガポールにクルマで通勤できることもあり、国が資金を投じて開発させる目的でスタートした計画です。当時の私はここに目をつけました。土地やマンションの価格が上がるのではないか、と」(美濃田さん) 美濃田さん含め、当時このイスカンダル計画には多くの日本人投資家が目をつけました。 「2013年に約4000万円を投資してコンドミニアム(家具家電付きのマンション)を投資目的で購入しました。ここから計画通りにジョホールバルが発展すればよかったのですが、話はそう上手くは進みませんでした」(美濃田さん) 購入から10年以上が経ちましたが、美濃田さんはいまだに期待していたような収益を得られずにいます。 「現在もローンを返済している状況ですが、家賃として得られるのはわずか15万円程度。日本の貯金を切り崩して何とか返済をしている状況です。さらに、ジョホールバルの物件価値が上がらないため、売却しようにも買い手も見つからない状態が続いています」(美濃田さん) たしかに、ジョホールバルはシンガポールまでのアクセスはよいものの、開発の計画が遅れたり、最悪の場合中止したケースもあります。 美濃田さんが「このまま好転することがなければいずれは破産するかもしれません」と吐露していたことが印象に残っています。