南仏旅行で見逃せないピレネー山脈の絶景
ラグビー・ワールドカップ(W杯)フランス大会が今年に開かれたのに続き、来年はパリ五輪。今後フランスに渡航し、南仏を旅する機会があれば、ぜひ眺めてみたいのが、スペインとの国境地帯にあるピレネー山脈の絶景だ。 ピレネー山脈の中でも、特にオート・ピレネー県にあるピック・デュ・ミディ(南の峰)山頂(標高2877メートル)にある展望台からは、欧州でおそらく一番美しい山頂からの眺めが楽しめるといわれている。さらに、山頂に宿泊すれば、低地では想像もできないような美しい星空が頭上に広がると評判だ。
どのようにしたらピック・デュ・ミディ展望台へ行けるのか。 パリに到着したら、パリからカトリックの聖地ルルドまで直行する特急列車を使うのが便利、ルルドからは、ピック・デュ・ミディ展望台行きロープウェー乗り場までのシャトルバスがある。 ロープウェーに乗ると、温暖な時期で天候に恵まれれば、眼下に山腹の草を食べる馬や牛が見えるだろう。ロープウェーは1.8キロと2.2キロの2区間に分かれており、乗り換え時間も含めて15分ほどで山頂に着く。
そこには大小さまざまなドーム状の建物が並び、天体や気象の観測施設、博物館、宿泊施設に加えレストランまである。 その日の天候によっては、山頂から麓まで晴れ渡っていることもあるし、広大な雲海が広がり、その上に山頂が顔を出しているのを見ることもある。 山頂から周囲を見渡すと空気が澄んでいて、はるかかなたの山々まではっきりと見える。博物館にはパネルや模型がたくさんあり、ここにフランス政府が気象観測、天体観測施設を建設してきた経緯や、作業がいかに困難だったかがわかる。 ここからは夜空の星や月もよく見える。このため米国航空宇宙局(NASA)が1963年に、月面の精巧な地図を作成するため、ここに天体望遠鏡を設置した。その当時、米国政府は月面に宇宙飛行士を着陸させるアポロ計画を推進していた。 ピック・デュ・ミディに住んでいるのは、科学者や技術者、料理人など最大約40人ほどだという。ピレネー山脈で人間が居住している場所としては最も標高が高い。