無許諾の二次創作はどこまでがOKで、どこからが違法なのか?
著作権者の許諾を得ずに二次創作を行うと、著作権侵害の責任を問われるおそれがあります。二次創作に取り組んでいる方は、著作権に関するルールや違法・適法のボーダーラインを理解しておきましょう。 本記事では、無許諾の二次創作が著作権侵害に当たるのかどうかを解説します。
1. 二次創作について主に問題となる権利
二次創作については、著作者などが有する以下の権利が主に問題となります。 (1)複製権 (2)翻案権 (3)同一性保持権 1-1. 複製権 「複製権」とは、著作物を複製する権利です(著作権法21条)。 たとえば、他人の著作物である絵や漫画などを模写する行為は、著作物の複製に当たります。著作物の複製を行う際には、原則として著作権者の許諾が必要です。 1-2. 翻案権 「翻案権」とは、著作物を翻案する権利です(著作権法27条)。 「翻案」とは、脚色などによってオリジナルの内面的な表現を維持しつつ、外面的な表現を変えることをいいます。 たとえば、他人の著作物である絵や漫画に自分なりのアレンジを加えて、オリジナルをベースとしていることが分かる範囲で別の絵を創作することは、著作物の翻案に当たります。 著作物の翻案を行う際にも、原則として著作権者の許諾が必要です。 1-3. 同一性保持権 著作者は、意に反して著作物の改変を受けない権利を有しています(=同一性保持権。著作権法20条)。 無許諾でオリジナルを改変する二次創作を行うと、翻案権侵害に加えて同一性保持権侵害の責任も問われるおそれがあります。 なお、複製権と翻案権は他人に譲渡することができますが、同一性保持権は「著作者人格権」に当たるため、他人に譲渡することができません。 後編では、具体的に 無許諾の二次創作はどこまでOKで、どこからが違法と判断されるか解説していきます。 取材・文/阿部由羅(弁護士) ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。 https://abeyura.com/ https://twitter.com/abeyuralaw
@DIME編集部