にしたんクリニック・西村誠司、個人純資産300億まで成り上がった人生のきっかけは“子育て”だった
フェラーリで学校へお迎えに。息子に言われた言葉とは
西村氏にとって、子供の存在が、社会へ目を向けさらに企業を成長させるきっかになった。ではその子供たちに、どうお金の教育をしているのだろう。 「お小遣いは与えていません。どうしても必要なものがあれば私たちに相談をしてくれと。でも、だからといって『あれもこれも買って』とは言いませんね。父として見ていると、彼らはあまり物欲がない印象です。 私たちは10年ほどアメリカに住んでいた時期があり、上の子供たちはアメリカの学校へ行っていました。一度、学校にフェラーリで迎えに行ったら『恥ずかしいからもう2度と来ないで』と怒られてしまいました(笑)」 西村氏は、新聞配達を始めた13歳から54歳の今日に至るまで、常に働き続けてきた。だからこそ、仕事においては子供たちに伝えたいことがある。 「自分の仕事が誰かのためになっているか。それを常に意識してほしい。社会貢献とまではいわなくても、同僚のためでもいいんです。大きな仕事をしてほしいのではなく、コツコツと積み上げて、そしてみんなに愛される優しい人であってほしい」 西村氏の両親がそうだったように、子供たちにも「勉強をしろ」とは言っていない。いわゆるお受験も本人が望まないかぎりはしないと決めている。もちろん会社を継いでほしいとも思っていない。 「ただただ健康でいてほしい。そして自分の心地よいと思ったことを地味でもいいから突き詰めて幸せになってほしい。ただそれだけです」 親の考えを押し付けず、一歩引いて子育てをしている西村氏。自分のために、金のために働いてきた自分を変えてくれた子供たちを優しく見守りながらも、その愛は子供たちを育ててくれた世の中全体に、社会貢献というかたちで注がれていく。 西村誠司/Seiji Nishimura 1970年愛知県生まれ。アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)を経て、1995年インターコミュニケーションズ(現エクスコムグローバル)を設立。モバイル通信サービス「イモトのWiFi」、メディカル支援サービス「にしたんクリニック」「にしたんARTクリニック」などさまざまな事業を展開。著書に『最強知名度のつくり方 売上98%減からのV字逆転を実現した必勝術』がある。
TEXT=安井桃子