孫文の歴史的演説から100周年…トランプ新時代に高まる「大アジア主義」の再評価
トランプ政権によるアメリカの財政
「中国の最恵国待遇を取り消し、必需品の中国からの輸入を段階的に停止し、アメリカ企業の中国への投資をブロックし、中国にアウトソーシングしている企業に対する連邦政府との契約を禁止することで、中国からの経済的独立を取り戻す」とトランプは公約しています。[ⅷ] 中国はアジアのほとんどの国にとって最大の貿易相手国ですから、トランプの中国に対する制裁はアジア全域へ深刻な影響を及ぼすでしょう。 しかし、アメリカ連邦政府の債務のGDPに対する比率は、既に第二次世界大戦末期の水準に達しています。アメリカ連邦議会予算局(CBO)は、この比率が今後も上昇し続けると予測しています。 債務が膨張するにつれて、債務の利子支払い(利払い)も膨張します。アメリカ連邦政府の債務利払いは2022年に防衛費を超え、2023年の1年間だけで26%増加し1.03兆ドルに達しました。これは2020年の約2倍の水準で、日本円で約160兆円に達します。日本政府の国債利払いは2024年度予算で9.7兆円(2020年度比31%増)ですから、アメリカ連邦政府の利払いは桁違いの巨大な規模なのです。 トランプが公約している減税は債務の膨張を加速させ、高関税はアメリカの経済成長を減速させて債務の対GDP比率の上昇を加速させるでしょう。そうなるとアメリカ国債の信用不安が意識されてきます。トランプ政権が中国を叩けば叩くほど、ブーメランとなって、アメリカの財政に対する信認を低下させるのでしょう。 [ⅷ] “Agenda47: President Trump’s New Trade Plan to Protect American Workers”, February 27, 2023 https://www.donaldjtrump.com/agenda47/agenda47-president-trumps-new-trade-plan-to-protect-american-workers