大阪の新フェリーを散策 女性社員の意見反映した船とは
大阪の新フェリーを散策 女性社員の意見反映した船とは THEPAGE大阪
大阪市西区の名門大洋フェリーが9月に同社最大級の新造船「フェリー大阪II」「フェリーきたきゅうしゅうII」を就航した。大阪と北九州を結ぶフェリーだが、これまでにはなかったトラック運転手向けの1人部屋「ドライバーズルーム」や電気自動車充電設備を設置。また、女性客の利用を考え部屋の中にトイレを設置するなどの配慮もされているという。そんな新しい船の中を散策してみた。
女性社員の意見を反映したつくりに
「今回、この造船にかかった費用は1隻につき60億円かかった」と話すのは同社の阿部哲夫社長。だが、造船する上で九州側にあるターミナルビルの建設や、大阪にある積載設備設置などを含めると、計130億円もの費用を投じたという。 長距離トラックドライバー不足や排出ガス規制、高速道路無料化撤廃など社会的な背景から造船を決めたという。だが、それだけではなく「フェリーの良さ」を感じてもらうための工夫も凝らしている。 たとえば、これまでは各部屋の外、廊下などにトイレなどが設置されていたが、今回は中にもトイレを設置した。これは、例えば女性客が夜中にトイレへいくのに、寂しい廊下を歩く怖さなどを緩和するためだとか。 また、そのトイレ内にはパウダールームも設置。阿部社長は「洗面台じゃあかんのか」とも思ったそうだが、こうした会議には同社の女性社員が必ず複数出席し、その「女性の観点」からの意見を尊重し、今回それらを反映するなど、様々な工夫が随所にみられる。
続々と時代に即した設備を導入
また、トラックなどが船から乗り降りする際の荷役時間を短縮させるため、荷役口を2つ設置した。これは港に可動橋を設置することにより搬入口の渋滞を緩和し、スムーズな荷役を実現につながった。船もハイブリッド型推進方式を採用し、燃料の消費量を削減するなど、環境面での配慮も考えられている。 そして、駐車場には電気自動車充電設備を10台分設置。旅客の面では、車いすの利用者を配慮した乗降施設のバリアフリー化。授乳室、wifi完備など、時代に対応した設備も特徴的だ。 乗船にはインターネット割引など予約システムのリニューアルも図り、49日前までに予約すると、最大で40%割引で買うこともできるという。これにより、乗船名簿の記入で列ができるなどの状況を避けることもできるなど、これまでのフェリーのイメージが変わることになりそうだ。