「その人らしさ」を交換するデジタル名刺・プレーリーカードとは?共同代表 坂木茜音さんインタビュー
最大の競合は「人間の文化」そのもの
──2023年2月の創業から1年半が経ちましたが、難しい局面はありましたか? 一番悩んだのは、クリエイターとしての視点を持ちつつ、さらにビジネスとしての視点も持たなければならない、そのバランスですね。ユーザーさんを喜ばせることができているのだろうかとか、周りに比べて仕事ができないなど、悩むことは多かったです。 自分がやろうとしていることは社会に問いを投げかけることであり、常識を問い直すという意味ではビジネスのバックグラウンドがないことも1つの強みだと言えるようになるまでには、かなり時間がかかりました。 ──そうした悩みを、どのように乗り越えてこられたのでしょうか。 悩みながらとにかくやり続けて、最後は開き直りです。みんなできるように見えるけど、やっぱりそれぞれ得意不得意があるし、それを補い合うのがチームだと。 今でも自分の役割を見失いそうになることはありますが、それを乗り越えられるようになってきたと思います。 ──現在、特に課題だと感じておられることはありますか。 デジタル名刺サービスの競合が増え、成長していくかを考え抜いた結果、最大の壁は人間の文化ではないかと気づきました。 紙よりもデジタル名刺のほうが便利だとわかってはいても、紙の名刺はみんなが使っているし、失礼がないから安心して出せる。そういうTPOやデジタル名刺に対する精神的な障壁こそが、私たちにとっての本当の競合なのだと。 文化を変えるというのは本当に大変なことなので、スマートフォンや電子ハンコなど、これまでのデジタル化の歴史を参考にしつつ、いろいろな角度から攻め方を研究しています。難しいけれど、とてもワクワクする挑戦です。
熱意の源は、ユーザーの声とチームの絆、そして反骨精神
──坂木さんのチームビルディングについてお聞かせください。 私は会社の中でも元気キャラなんです。 人のために動くのが好きで、集まりやイベントを企画するのが得意。みんなで楽しく過ごす時間に、チームとしての大事な部分が詰まっていると思っています。今日はみんなで作業しようとか、毎月飲み会しようよとか、そういう提案をとにかく言い出しっぺでやるのが私の役目です。 もう1つは、ひとりひとりと密に話をして、信頼関係を築くこと。 ただ、人をマネジメントするとか、数値目標を掲げることは苦手なので、そういった部分はスタートアップ経験があるメンバーに任せて、私はもう少し柔らかいコミュニケーションの部分や雰囲気づくりに注力しています。Slackでは誰よりも早くスタンプを押すくらいの勢いで、「ちゃんと見てるよ」というメッセージを伝えるようにしていますね。 ──仕事への熱意の源泉は何ですか? やっぱりユーザーの喜びですね。 私、めちゃくちゃエゴサーチするんです(笑)。それでユーザーさんが「プレーリーカードでオリジナルデザインつくったよ、見て見て」とか「届いた、使ってみた」という投稿をしてくれるのを見ると、本当にうれしくなります。 自分がつくったもので誰かが喜んでくれている。それがダイレクトに見られるのは、BtoCのサービスのいいところです。 あとは先ほどお話ししたとおり、ビジネスの常識に対する反骨精神や、社会に対して問いを投げかけたい気持ちがあります。 そして何よりも、一緒に働いているメンバーの存在が欠かせません。ほとんどが経営メンバーの友人や紹介で集まった仲間なんですが、「こんなにいいメンバーが集まっていいんですか?」って思うくらい、すばらしい人たちです。 そんな仲間たちと一緒に作り上げていく楽しさが、大きな原動力になっています。