なぜ就職ランキング上位の人材コンサルは倒産したのか…「消える企業」と「生き残る企業」の決定的違い
■Amazonのサブスクは理想的なモデル では、顧客が潜在化するマーケットの中で、永続的に売上を上げていくために企業はどのような行動を取ればよいでしょうか? 簡単です。一度顧客になった新規顧客にリピートしてもらうことです。 通説によれば、新規顧客を獲得するコストは、リピーターを獲得するコストの5倍(1:5の法則)。つまり、一定程度の顧客を核としたのであれば、次に行うべきはリピーター顧客の獲得です。 そのためには、リピーターになってもらえるだけの商品を作り、リピーターになってもらえるだけの関係性を顧客と作り上げる仕組みを作ることが必要です。これが不安定なマーケットの中で、企業が持続的に成長していくための方策です。 ネットフリックスやAmazonに代表されるサブスクリプションモデルは、リピーター顧客を獲得し続ける理想的なモデルと言えます。 ワイキューブのビジネスモデルは、新卒を獲得したい中小企業やベンチャー企業を獲得することでした。中小やベンチャーにとって年間数百万円のコストを毎年払い続けることは簡単なことではありません。また、一度採用ノウハウを得てしまえば、リピートする理由は弱くなります。時が経てば、サービス開始時にはなかった競合も現れ追随します。 結果、ワイキューブは売上を維持できなくなり、資金ショートに追い込まれます。新規が獲得し続けられるとの幻想を持ち、リピーターを獲得し続けるだけのビジネスモデルを作り上げられなかったことがワイキューブの倒産の一因となってしまいました。 ■本来、多額の借り入れは不要だった 消える企業の共通点② 危機に対応できない財務体質 ワイキューブはその成長を支えるために多額の借り入れを行いました。経営に携わる方ならここで疑問がわくはずです。それは「借り入れの使い途は何だ?」です。 コンサルティング会社はノウハウを提供し、その対価で報酬をもらうビジネスです。よって、多額の固定資産は必要なく、当然借り入れも不要です(近年のベンチャーに見られるシステム開発を伴うコンサルティング事業の場合は、多額の資金を必要としているが、ワイキューブはその形態ではなかった)。 人事コンサルティング業であるワイキューブがどこに多額な資金が必要だったのでしょうか?