鐘光産業、浜松にスリッター工場開設。納期・品質などサービス向上
特殊鋼コイルセンターの鐘光産業(本社・兵庫県尼崎市、社長・藤本惠一氏)は、東海地区の販売先に納期や品質などのサービス向上を図るため、静岡県浜松市に新工場を開設した。大小のスリッターラインを1基ずつ設置しており、本格稼働は来年1月。月間加工量1300トンでスタートし、来年度(2026年3月期)中には1500トンを目指す。藤本社長は「新工場は流通の機能が問われる時代に商権を守るための投資。拡販が目的ではないが、お客さまに何らかのプラス効果があれば自然と量は増えていくと思う」としている。 同社は、S45C以上のハイカーボン鋼のスリットコイルを自動車部品メーカーを主力に刃物関連のユーザーにも供給している。東海地区のユーザーには、外注先のコイルセンターから供給していたが、コロナ下でユーザーの生産が停滞し、外注先にコイル在庫が滞留。また細幅のスリットコイルは本社から配送していたこともあり「当社が納期や品質面でレベルアップし、お客さまから継続的に安心して注文をいただくには、自社でコイルセンターを持つしかない」(藤本社長)と判断。3年前から東海地区での新工場開設を検討していた。 浜松工場の敷地面積は5762平方メートルで、工場面積は2223平方メートル。大型スリッターライン(対応可能サイズ=1250ミリ幅まで、0・6~6ミリ厚)、小型スリッターライン(同=450ミリ幅まで、0・5~3ミリ厚)を1基づつ設置している。今後、需要動向を見ながら小型スリッターラインの増設も検討していく。 同社は本社工場にスリッターラインを大型1ライン、小型4ライン設置。現状月間加工量は2千トン程度で、在庫量は加工後のスリットコイルも含め7千トンを保有。またタイにも工場を持ち、スリットコイルを日系メーカーを中心に供給している。