「血糖値が高い」と気にしている人の重大な盲点 「血糖値の安定」こそが重要な理由
たとえば仕事が忙しくてお昼を抜いてしまったようなとき。何も食べない時間が続いて血糖値が低下すると、体は血糖値を上げようとして血糖値を上げるホルモンを分泌します。たとえば成長ホルモン、グルカゴン、甲状腺ホルモン、アドレナリン、ノルアドレナリン、コルチゾールなどです(ほかにもいろいろあります)。 これらのホルモンの働きで、肝臓にたまっているグリコーゲンがブドウ糖に分解され、血中に放出されることで血糖値が上がります。
中でもアドレナリンとノルアドレナリン、コルチゾールの作用は強力です。これらはしっかり血糖値を上げてくれるのですが、同時に私たちにとって困った作用も引き起こしてしまいます。頭痛、食欲不振、吐き気、冷や汗、緊張感、イライラ、手や体の震え、不安・恐怖感、頻尿などです。 こうした症状は「血糖値が下がっているぞ」というアラームとして起こっているものなのですが、多くの人はこれを血糖値と結び付けて考えません。「どうも不調だ」「何かイライラする」などととらえてしまうのです。あるいは本人も自覚のないままに、人を怒鳴り散らしたり、ムスッとして不機嫌になっていたりします。
「すぐキレる上司」「人の話を聞けない部下」、あるいは「いつもイライラしているあの人」は実は「血糖値を上げようとアドレナリンを出している」状態なのかもしれません。 血糖値の低下は食事の間隔が空いたときだけでなく、糖質の多い食事をしてしばらくした後にも起こります。血糖値が高くなるとインスリンが分泌され、その働きで血糖が細胞に取り込まれ、血糖値が下がります。 糖質をたくさん食べるとインスリンもたくさん出て、血糖値は上がった後に急激に下がります。
たとえば空腹時に甘いものを大量に食べると、ガーッと血糖値が上がってしばらくするとガーッと下がるというような状態が起こります。 まさに「血糖値の乱高下」です。これは体にもメンタルにも大きな負担をかけてしまいます。 全身の細胞はブドウ糖を主なエネルギー源としていると言いましたが、多くの細胞はブドウ糖以外にも、脂質やアミノ酸もエネルギー源として使うことができます。しかし「赤血球」はブドウ糖だけをエネルギー源としています。赤血球が生きていくためにはブドウ糖が絶対に必要です。