原巨人5連勝の裏に一枚上手の采配力
原監督の第二次政権時代に、戦略コーチ、打撃コーチを務めたこともある評論家で新潟アルビレックス・ベースボール・クラブ強化アドバイザー兼総合コーチの橋上秀樹氏は、5連勝の裏には、“原マジック“が見え隠れしているという。 「他球団に比べると、先発がしっかりとしていて主軸のバッターが固まっているという戦力の有利さもありますが、原さんの采配が冴えています。最終回にも二死一、三塁から仕掛けましたね。DeNA相手に4点はセーフティーリードではないという考えがあり、何もせずに終わるより、少しでも得点につなげる可能性を探ったのでしょう。結果、得点にはつながりませんでしたが、相手チームに“こんなことをやってくるのか”という意識を植え付け、チームの野球観も高めることにつながります」 またウィーラー、丸を試合前に教えた原監督の選手への直接指導は、橋上氏がコーチ時代にも行われていたという。 「監督に声をかけられる、教えてもらうというのは、選手にとって嬉しいことなんです。それだけで意気に感じる。技術以上に魔法みたいなところがあるんですよ」 一方で、先の広島戦では、丸にプロ入り初となる1試合2つの犠牲バントをさせるなどの非情の采配もある。ベテラン、若手関係なく、戦闘集団に必要な「勝利最優先主義」の鉄則を貫いているため、強いリーダーシップが生まれチームに一体感が出てくる。 橋上氏は、「セ・リーグの他の監督に比べると采配が光ります。動くとこは動く、我慢するところは我慢するを徹底しています。他の監督は、どちらかというと選手任せの野球で、あまり戦術、戦略は目をひきません。巨人には、整備された戦力に加え、なおかつ采配のプラスアルファがあります。監督としての力量、経験はちょっと抜けているように感じます」と評価した。 広島・佐々岡監督、ヤクルト・高津監督は、監督就任1年目。阪神の矢野監督、中日の与田監督も、まだ2年目で監督経験は浅い。横浜DeNAのラミレス監督が、唯一、就任5年目で、クライマックスシリーズ、日本シリーズ進出経験もあるが、原監督は長嶋茂雄氏の通算勝利1034勝を抜き、これで1039勝目である。橋上氏が指摘する采配力の差が、セのペナントレースの行方を大きく左右することになるのだろうか。