「オルビス」が激戦区のドラコスに参入 低価格帯スキンケアに新風を吹き込む
表層的なマーケティングではなく
重視するのはあくまで「生活者の声」
―――店舗の拡大には営業活動も重要では?
小林:実は“エッセンスインヘアミルク(以下、ヘアミルク)”のヒットをきっかけに、小売店とのパートナーシップが拡大した経緯があります。
―――SNSを中心にバズったアイテムですね。13年も前に発売して、1度もリニューアルしていないと聞きました。
小林:その通りです。しかも、広告も一切していないんです。11年の発売時から右肩上がりでジワジワと伸びて、21年の販売個数が28万個。22年にSNSでバズったことをきっかけに、23年には250万個と2年で約9倍に跳ね上がりました。
―――ものすごい急成長ですね。
小林:そうなると、商品企画部から「ひと昔前のデザインだから、ボトルを刷新したい」とか、「インフルエンサーマーケティングで、さらにドライブさせよう」みたいな話が出るんですよ。僕は、全部却下しました。
―――全部却下ですか。
小林:そう、全部却下(笑)。なぜなら、マーケティングでは「認知」と「想起」を取る時点が一番大変なんです。まずはヘアミルクを知って頂いて、髪に悩みがあった時に「あのピンクのボトルの……」と思い浮かべていただくことですね。
確かにボトルは、ひと昔前のど派手なピンクですが、今変えたらどれだか分からなくなってしまう。そして、せっかく自然発生的にバズったのに、インフルエンサーがハッシュタグつけたSNSを目にしたら、一気に冷めませんか?じゃあ何をしたかというと「生活者との接点」を増やす、つまり売り場を拡張すべく、バラエティーショップやドラッグストアなどのリテールに営業をかけました。
―――そこで小売店とのネットワークが構築できたんですね
小林:そうです。配荷でいうと“ヘアミルク”は現在、バラエティーショップを含め全国2万を超える店舗に置いていただいています。背景にこのような店舗とのパートナーシップがあったことも、“ショットプラス”ローンチの後押しになりました。