「オルビス」が激戦区のドラコスに参入 低価格帯スキンケアに新風を吹き込む
―――:化粧品のEC比率は、具体的にはどのくらい?
小林:経済産業省が公表しているデータによると、「化粧品、医薬品」のEC化率は22年度で8.24%。化粧品だけ抜き出して試算すると20%に満たないくらいで、約8割の生活者は実店舗で購入していることになります。
さらに、22年のインテージSLI調査を元に独自で分析したデータでは、化粧品購入チャネルの上位86%がドラッグストア・ECプラットフォームでした。リアルの世界では、ドラッグストアがインフラとして機能している。そのうちの77%が1000円前後のプチプラスキンケアユーザーであることも分かりました。
―――ドラッグストアとプチプラコスメの存在感が分かるデータですね。ただ、EC比率に関しては、今後伸びる可能性もあるのでは?
小林:おっしゃる通り、ECは今後も伸長していくはずです。一方で、今度は「変化したこと」に目を向けると、1人の生活者がデジタルとリアルを行き来するのが当たり前になった。そうなると、デパコスもドラコスも関係なく、あらゆるブランドが店舗販売とECを「総合格闘技」的に取り組まなくてはなりません。
何が起こるかというと「EC広告単価の劇的な上昇」です。われわれのような直販ブランドは、トータルで考えると将来的に利益率の低下が予想される。だとしたら、リアルとECを融合して、最も付加価値の出せるポイントはどこかを考える必要があります。
まだ「オルビス」を知らない潜在的な顧客と出会うために
―――そこで、ドラッグストアに進出する選択をした。
小林:現在オルビスは、年商450億円規模のビジネスを展開しています。この規模のシェアがあると、人口減少が進む国内において、新規顧客の獲得はなかなか難しい。私たちがまだ出会えていないお客さまはどこかといったら、ドラッグストアのチャネルだった。
総合的に考えて、1000円前後でこれくらい高い技術が詰まったコストパフォーマンスのよい商品はなかなかない。昨今の生活者の格差が広がっていること、そして「オルビス」のブランドフィロソフィーとしてはやるべきと判断しました。