“一部の例でイメージ悪化”「民泊」現場の模索、誰が質を担保?
民泊をめぐるトラブルが相次いでいます。14日には、ゴミの放置や騒音が近隣住民への不法行為に当たるとして、部屋を所有していた男性に賠償命令が出される裁判がありました。ただ、民泊の法的な位置付けや責任は現状、あいまいと言わざるを得ません。20日開幕の通常国会には、民泊に一定のルールを定める新法案が提出される見込みで、年間営業日数を180日間以内などとする内容だと民泊の現状や法整備への期待と注文について、2回に分けてジャーナリスト・関口威人氏がレポートします。 【前編】“法の網がかかっていない”トラブル相次ぐ「民泊」 特区と新法の行方は?
◇ 住宅を宿泊所として活用する「民泊」の行方が注目されています。世界の流れを日本にも取り入れて、思い切った規制緩和で全面的に認めていくか、ハードルを高くして淘汰させていくか。前編の国や自治体の動きに続いて、観光都市・京都で実際に民泊を進める現場の模索も見てみましょう。
規制を緩めれば宿泊施設は増えるが
「うちほど、きちんとやっているところはないのでは」 黒光りする柱や梁に、金銀をあしらった調度が映える部屋で、張琴(ちょう・こと)さんは胸を張りました。 京都市北区、金閣寺に近い築80年の京町家。伝統的な格子窓の外観に、「八重櫻(やえざくら)」と書かれた上品なのれんがかかります。「売るよりは誰かに貸したい」という旧家主の意向を受け、張さんらが民泊用にリニューアルしました。
「特区」基準ではなく、旅館業法上の民泊に必要な営業許可を取るのに要した期間は、2016年1月からの約半年間。区の保健所や消防の担当者と何度も打ち合わせをしたり、立会を受けたりして、計画や工事内容を変更していきました。旅館業法の「客室」とするためには、各室の延べ床面積に対して8分の1以上の採光面積が必要。そこで窓や開口は京町家としてはかなり大きくとりました。玄関を上がってすぐには帳場(フロント)をつくり、避難の誘導灯も天井近くに取り付けています。 「でも、台所に安全を考えて火を使わない電磁調理器を入れたら、『前例がないからダメ』と言われたんです。最終的に認めてもらえましたけれど」と笑って振り返る張さん。