“一部の例でイメージ悪化”「民泊」現場の模索、誰が質を担保?
こうした細かい制約や条件をクリアしつつ、京町家ならではの趣きを残すことにこだわった民泊施設として、「八重櫻」は6月に京都市の営業許可を取得できました。 「京都のよさを、インバウンドの外国人だけでなく、日本人にも再発見してほしい。だから、海外の民泊サイトには登録せずにオープンしました。今も宿泊客の8割ほどが口コミなどで知った日本の人です」
日中は、張さんがほぼ必ず帳場に立って宿泊客を迎え入れ、部屋を案内したり、周辺の観光情報を伝えたり。夜は客に任せて宿を出ますが、何かあればすぐ対応できるようにしています。 「規制を緩めれば民泊がやりやすくなり、宿泊場所は増えるでしょう。でも、運営側が人の命を預かるという責任は持てるでしょうか。今の『もぐり』の民泊では、泊まった人に責任が押し付けられます。長い目で見れば、時間やコストはかかっても、事業者がしっかりと安全性や質を確保することが大事なのでは」と張さんは問題提起します。
今は許可ないが、いずれ取る
一方、世界最大の民泊サービス「エアビーアンドビー(Airbnb)」のサイトには、京都市内でも民泊を受け付ける登録施設が数十は見つかります。そのいくつかの事業者(ホスト)にコンタクトを取り、市の営業許可を取っているかどうかなどを尋ねてみました。ほとんどは回答をもらえませんでしたが、中には「今は取っていないが、取得に向けて動く予定」と返信をくれたホストもいました。 一軒家を貸し出すタイプの民泊をしているホストで、「外国人が気軽に日本に滞在できるようになり、街が活性化していくのが民泊のよさ」とします。しかし、「京都市はホテルに対する配慮が強いこともあり、これから規制が強化されることはあっても緩和されることはないように思う」と分析。もし市の許可が下りなければ「予約分が終了し次第、民泊を閉じる」つもりだそうです。 マンションの一室を含めて複数の物件を登録している別のホストは、「取得済みの物件、現在取得に向けて動いている物件、取得できそうにない物件がある」と明かしました。取れない物件は、やはり順次閉鎖していくしかないとします。 「一部、とんでもない運営者がいることで、民泊全体のイメージが悪くなっている」のは確かだとしながら、「ただやみくもに取り締まることには反対だ」と主張。 「学生向けの下宿も経営しているが、いったんトラブルがあると根深い。民泊のトラブルの方が、まだましに感じる。海外から多少騒々しいゲストが来ても、注意すれば理解し、静かにしてくれるし、ごみもきちんと説明すればきっちり分けてくれる」