“一部の例でイメージ悪化”「民泊」現場の模索、誰が質を担保?
このままではまだ空き室は増える
それに対して、「このまま空き家が増えれば、治安の悪化や地価、賃料の低下も起こりうる。お金を地域に落とすという考えからは、外資系や東京資本のホテルを規制してもいいくらいだ。民泊代行業者も東京から来ている業者が多く、私たち京都の人間がもっと頑張らなければ」と心情を吐露。民泊新法を含めた国全体の動きに対しても懸念を示します。 「営業日数を『180日以下に規制する』といった議論よりも、まず現在のワンルームマンションや戸建て住宅の建設を抑制すべきだ。ワンルームは相続税対策で建てる傾向が強く、戸建ては依然として新築が優遇され、土砂崩れなどの災害が起こりやすい地域を宅地開発している。これを修正しない限り、まだまだ空き室は増え、日本全体として資産が無駄になってしまう」 エアビーアンドビーの渉外担当、マイク・オーギル氏は、厚労省などが開いた15年12月の「『民泊サービス』のあり方に関する検討会」に参考人として出席し、こう述べています。 「私どもは世界3万4000都市にビジネスを持っている。したがって、国や自治体によって違う法律、建物によって違う規則を、全部私どもの方でチェックして、それに見合っているかを判断することは不可能。あくまでもホスト側が、自分たちが守らなければいけない法律に照らし合わせ、きちんとやれるかどうかを調べる責任があり、違法かどうかの判断は当局が責任をもって行うべきだ。エアビーアンドビーの立場は、まずホストが理解できるような明確なルールを整え、彼らがそれを守っているかどうかを見ていくことだ」 先のホストによると、エアビーアンドビーからは「たまに」助言や指導が来るそうですが、「コミュニケーションが強いわけではない」そうです。民泊を利用するにも提供するにも、法整備も進んでいない現段階では、関わる以上は個人の責任や覚悟が相当に必要であるのは間違いないでしょう。
---------------------------------------- ■関口威人(せきぐち・たけと) 1973年、横浜市生まれ。中日新聞記者を経て2008年からフリー。環境や防災、地域経済などのテーマで雑誌やウェブに寄稿、名古屋で環境専門フリーペーパー「Risa(リサ)」の編集長も務める。本サイトでは「Newzdrive」の屋号で執筆