昭和の人気漫画「じゃりン子チエ」が浪曲に よみがえる下町風情と笑えて切ない人間の機微
浪曲版では、チエちゃんの登場からヨシ江が家に戻るまでの漫画序盤のエピソードをまとめた。気まずい雰囲気の両親の仲を取り持つため、家族そろっての京都旅行の電車内で、チエちゃんが、柄にもなく人前で歌う名シーンも盛り込む。
「無理に子供らしく振る舞うチエちゃんの葛藤はよく分かる」と語る隼人さんも、15歳から浪曲という大人の世界でもまれた。そして29歳の今は、テツのどうしようもなさも、ヨシ江が抱く罪悪感も身に染みる。
「チエちゃんたちは朗らかで、かなしくて、どこかのんき。時代や街が変わっても変わらない日本人の人情が詰まっている」と隼人さん。昭和から読み、語り継がれる「じゃりン子チエ」は、忘れてはいけない人間らしい「心」を呼び起こしてくれる。(田中佐和)
■はるき悦巳さん 新しい「じゃりン子チエ」を
浪曲化に当たり「じゃりン子チエ」の作者、はるき悦巳さんが産経新聞にコメントを寄せた。
“浪曲”というジャンルで「じゃりン子チエ」がどのような表現をされるのかということに大変興味を持ちました。また、真山隼人さんという若い世代の方が『じゃりン子チエ』に関心を持っていただけたことは、とてもうれしいことでした。作品に遠慮することなく、真山さん色の新しい『じゃりン子チエ』を存分に披露していただきたいと思っています。公演が非常に楽しみです。