大谷がスポーティングニュース最優秀男性アスリートに:国内外記者が振り返る前人未到のシーズン
ケン・ロゼンタール氏のコメント
<プロフィール> エミー賞受賞歴を持つ『Fox Sports』のリポーターで、同ネットワークのMLB中継において野球インサイダーおよびサイドラインリポーターとして活躍。ペンシルベニア大学卒業後、スポーツライターとしてキャリアをスタートし、『ボルチモア・サン』紙でオリオールズの取材を担当。その後、スポーツコラムニストとして活躍し、スポーティングニュースでは野球コラムニストを務める。現在は『ジ・アスレチック』で野球報道を担当。 <ロゼンタール氏のコメント> 最初から最後まで驚きの連続だった。通訳が引き起こした事件に始まり、すべてが信じられないような状況だった。 当初、水原一平が起こした事態に大谷がどう反応するのか、多くの人が気になっていたのも無理はない。あまりにも奇妙な状況で、彼がどの程度関与しているのかも分からなかった。誰もが「何が起きたのか」と疑問を抱いていた。しかし彼は最初から冷静だった。「自分は関与していない」と明言していた。 印象に残っているのは、ドジャース関係者が初めての記者会見の前に大谷に「緊張しているようには見えないね」と言ったときのことだ。それに対して彼はこう答えた。「どうして緊張する必要がありますか? 自分は何もしていないので」。その態度は非常に率直だった。 それから彼は新しいチームでプレーを始めた。もうエンゼルスではなく、勝てるチームでプレーしている。彼はこれまで見たことがないような存在だ。何度も言われていることだが、それでも繰り返す価値がある。彼が毎日やっていることは、あまりにも特別で理解するのが難しい。 一連の事件が彼に影響を与えるのではないかという懸念もあったが、驚くべきことに、彼はまったく動じることなく素晴らしいシーズンを送った。今シーズン、彼はこれまで以上に盗塁を増やし、新たな武器として加えた。投げられない中で、盗塁を武器としたのだ。 厳しい状況でも大谷は活躍した。怪我の影響や相手投手のレベルの高さもあり、プレーオフではレギュラーシーズンほどの支配力はなかったが、それでもいいプレーはあった。大谷のシーズンは常に新たな驚きをもたらし、今シーズンも例外ではなかった。まさに傑作と言える。 彼は春季キャンプから走塁に真剣に取り組み、非常に熱心に学んでいた。走塁という領域でさらに何かを成し遂げたいという強い意志があった。彼にはそれが可能だったからだ。この男を止められるものはもう何もないように思える。 大谷は日本からの大きな期待を背負っている。日本のファンは彼の活躍を心から願っているが、彼はそのすべてを意識の外に置いている。あまりに集中していて、他のことはすべて関係ないように見える。それに加え、彼は信じられないほどの身体能力を持っている。 大きな肘の手術を乗り越えた大谷に対し、ある人は打者に専念すれば、さらに活躍できるのにと言うかもしれない。盗塁やその他の面でさらに力を発揮するかもしれないと。しかし、私が知る彼の姿勢から言えば、彼は誰も届かないほど高い基準を打ち立てたいと考えている。そしてそのために、再び投手として戻ることを目指しているのだ。