三菱電機が完全自動運転サービス、リゾート施設で展開する狙い
三菱電機は2025年度の早期にリゾート施設向けランドカーの完全自動運転サービスを開始する。24年1―6月のインバウンド(訪日外国人)数が過去最高を記録する一方、人手不足が深刻化する観光業界では需要の取りこぼしが懸念されている。敷地が広大なホテル業界などに対し、運転手が不要な移動手段として訴求し旅行需要の取り込みを支援する。30年度に国内数十カ所での導入を目指すほか、海外での展開も視野に入れる。 【写真】自動運転サービスの車両 車両はヤマハ発動機のランドカーをベースに改良。アイサンテクノロジーと協業し、自動運転車両を構築する。敷地内の施設間移動でオンデマンドの運行管制システムを整備し、乗車申し込みから配車、運転までの送迎業務の省人化を実現する。年間を通じて3人分程度の業務量の削減効果が期待でき、人手不足が深刻なホテル業界などでデジタル変革(DX)を支援する。 自動運転車両には高機能センサー「LiDAR(ライダー)」のほか、障害物検知のためのミリ波センサー、車内・車外を撮影するカメラ、全地球測位システム(GPS)などを搭載する。同時に配車や車両の遠隔管理、利用者との遠隔通話などのアプリケーション(応用ソフト)を導入する。 23年秋には西日本のリゾート施設で実証実験を行い、課題などを抽出した。25年度の早期に同じ施設で6台のランドカーを導入し、本格的に事業を始める。併せて充電スケジュールや車両の保守計画を含めて一元的に管理することで、中長期の運用を支援し、業務効率改善に貢献する。 利用者はスマートフォンを通してランドカーを予約すると無人の車両が自動で配車される。利用中は運行管制システムが監視しており、トラブルなどがあった際に施設側へ伝達する。 インバウンドと国内旅行需要の拡大により、近年リゾート施設の開設が増加している。一方でリゾート施設特有の課題として敷地内に管理棟や宿泊棟、飲食棟、アクティビティ施設などが点在しており、利用者をその都度、車両で送迎する必要がある。折からの人手不足もあり、運転手の確保と予約の管理などが事業者の負担になっている。