NVIDIAファンCEOも言及-- 世界基盤モデルで「スマートグラス」が再注目:CES 2025
テクノロジ、ガジェット、スマホ、ロボット、自動運転車などはAIのおかげで、私たちの周囲の世界をより良く理解できるようになっている。この流れは2024年を通して顕著だったが、2025年のCESではさらに鮮明になった。半導体大手のNVIDIAが物理世界を理解する新しいAIモデル「Cosmos」と、将来のAIエージェントを動かすための大型言語モデル群を発表したのだ。 NVIDIAのジェンスン・ファンCEOは、これらの「世界基盤モデル」(現実世界を仮想化して物理AIに学習させられるモデル)がロボットや自動運転車に最適だと位置付けている。しかし、現実世界をより深く理解することで恩恵を受けられる別のデバイスもある。 それがスマートグラスだ。MetaのRay-Banのようなテクノロジー搭載のアイウェアは、急速にトレンドとなっている。Counterpoint Researchによると、Metaのスマートグラスは2024年11月に出荷台数100万台を突破したという。 このようなデバイスは、カメラを使って周囲を認識し、音声や映像を処理して質問に答えるだけでなく、タスクをこなす手助けをしてくれるAIエージェント(AIヘルパー)の理想的なプラットフォームのように見える。 ファン氏は、Nvidiaの技術を活用したスマートグラスが近い将来登場するかどうかについて具体的な言及はしなかった。しかし、もしパートナー企業がその技術を採用する場合、同社の新モデルがスマートグラスをどのように動かすかについて説明した。 「AIがウェアラブルデバイスやメガネのような仮想プレゼンステクノロジーに統合されることは非常にエキサイティングだ」と、CESで行われた記者会見でファン氏は語った。 ファン氏は、NVIDIAのCosmosモデルを使用するクエリをクラウドで処理するオプションも述べた。スマートフォンのようなコンパクトなデバイスでは、負荷の高いAIモデルを動かす際にクラウドを利用して処理負担を軽減することが一般的だ。デバイスメーカーがクラウドではなくデバイス上でNvidiaのAIモデルを活用するスマートグラスを作りたい場合、Cosmosは知識を小型化したモデルに変換し、特定のタスク向けに最適化できるとファン氏は述べた。 NVIDIAの新しいCosmosモデルは、ロボットや自動運転車のモデルを訓練するために物理世界のデータを収集するプラットフォームとして注目されている。これは、大型言語モデルが書かれたメディアを基にテキスト応答を生成する方法に似ている。 「ロボティクス分野におけるChatGPT的な転換点が近づいている」と、ファンはプレスリリースで述べた。 さらにNVIDIAは、MetaのLlama技術を使用した新しいAIモデル群「Llama Nemotron」を発表した。これはAIエージェントの開発を加速させるために設計されている。しかし、これらのAIツールやモデルがスマートグラスにもどのように応用される可能性があるのかを考えるのは興味深い。 NVIDIAはスマートグラスの特許を取得 NVIDIAがCES 2025に先立って出願した特許は、スマートグラスの可能性に関する推測を引き起こした。しかし、チップメーカーはこの分野で将来の製品について具体的な発表はしていない。一方で、Google、Samsung、Qualcommは先月、スマートグラスやヘッドセット向けの新しい複合現実プラットフォーム「Android XR」を構築中であると発表し、スマートグラスが近い将来さらに注目を集める可能性を示唆している。 2025年のCESでは、RayNeo X3 ProやHallidayスマートグラスなどの新しい種類のスマートグラスも展示された。さらに、国際データコーポレーション(IDC)は、2024年にスマートグラスの出荷量が73.1%増加すると9月に予測した。NVIDIAの動きも注目される。 この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。