アメリカ・中国で「白い肺炎」が急増....。新たに流行中の"新病"を専門医が解説
オハイオ州保健当局は、子どもの肺炎が急増していると警告している。同州では145件もの小児肺炎が発生しており(3歳~14歳の子ども)、中には「白肺症候群」あるいは「白肺」肺炎と呼ばれる症状もあるという。 【写真】 アルコール消毒は、免疫力低下につながる!? 写真で学ぶ冬の免疫術 中国でも小児肺炎が急増しているが、オハイオ州ウォレン郡保健区当局者は、中国での流行と関係はないと強調する。 「オハイオ州での大流行が他の州や国など、世界で発生しているケースとの関係性は全くない。今年の発生件数は増えているが、重症度は前年までと同じ」とニュースリリースで述べている。また、発症した子どものほとんどは、抗生物質を服用する自宅療養で回復しているとのこと。 まだあまり知られていない「白い肺症候群」とはどんな病気なのか? その兆候や原因、対処法などを専門家に伺った。 話を聞いた専門家: ・プロヴィデンス・セント・ジョンズ・ヘルス・センターの小児科医 ダニエル・ガンジャン医学博士 ・ニューヨーク州立大学バッファロー校教授で感染病主任 トーマス・ルッソ医学博士 ・コアウェル・ヘルスの呼吸器科医グスタボ・カンボ=ナチェリ医学博士
「白肺」肺炎とは?
「白肺」や「白肺症候群」と呼ばれているが、これは医学用語ではない。白肺肺炎という種類の肺炎ではなく、「レントゲンで白く映る肺炎を表現して使われている非特異的用語です」と、カリフォルニア州サンタモニカにあるプロヴィデンス・セント・ジョンズ・ヘルス・センターの小児科医ダニエル・ガンジャン医学博士は説明する。 白く写るのは、肺の空気嚢に溜まった水分、肺組織の炎症、肺組織の傷などによるものと考えられるとのことだ ニューヨーク州立大学バッファロー校教授で感染病主任のトーマス・ルッソ医学博士は、「肺は空気で満たされていて、正常な胸部レントゲンの場合、空気は黒く写ります」と説明し、「肺炎になると、肺のあちこちに水が溜まり、黒や濃い色であるべきところが白く写るのです」と続ける。 白肺肺炎の原因はさまざまだ。「最も一般的なのは細菌ですが、RSウイルス感染症や新型コロナ、インフルエンザによる肺炎でもこのようになります」とルッソ博士。 肺炎に「白肺」という言葉が使われるようになったのは最近だが、「他にもさまざまな症状が呼吸器系に影響を及ぼし、肺を異常に“白く”する場合があります」と言う。 さらに「体がその部分をきれいにすることができるようになるまで、白肺は数日から数週間続く」と、カンボ=ナチェリ医学博士は説明する。