巻き込まれると即「命の危険」も…忘れてはいけない“土砂災害大国”日本での地形と気候がもたらすリスク
日本は世界有数の“土砂災害が多い国”
日本で土砂災害が多い原因は、日本列島の地形や地質・気象など自然条件が大きいという。具体的に見ていこう。 【原因1】世界と比べて約2倍の降雨量 土砂災害を起こす大きな原因の1つは雨だ。日本の1年間の平均雨量は約1700ミリで、世界平均の約970ミリを2倍近く上回る。 さらに日本では、梅雨や台風などの季節に大量にまとまって降るため、この季節に土砂災害が起きやすい。 【原因2】豪雪地帯にも人が多く住んでいる そして、冬になると雪が降る。 日本の面積の約51%が豪雪地帯で、こうした地域にも人が多く住んでいる。そのため、雪解け水や雪崩が原因の土砂災害の被害を受ける人も多くなる。 【原因3】“山地”が多く、居住者も多い 次に、日本は山や丘陵地が約70%を占め、高くて険しい山が多いという特徴がある。加えて、多くが崩れやすい地質でできているため、雨や地震で土砂災害が起こりやすい。 さらに平地が狭いため、山の斜面などの土砂災害が起こりやすい場所に住んでいる人が多くいる。これも、大きな被害が出る要因となっているという。 【原因4】川は急流が多い 高くて険しい山が多いため、川も傾きがキツイ急流が多い。土砂災害防止広報センターによると、「日本の川は、川というより滝といった方がいいくらい」だという。 もちろん川の傾きがキツイほど、水の流れが速くなり、山を削り取る力も強くなるため、災害が起こりやすくなる。 【原因5】地震が多い 最後に地震だ。日本列島は、4枚ものプレートが接する場所にあるため地震が多く、“地震大国”と言われるほど。地震の振動が原因で、崖崩れや地すべりが起こり、崩れた土によって土石流が起きたり、崩れた土砂が川をせき止めて土石流を引き起こしたりする。 ほかにも、活火山が多いなど、日本は土砂災害が起こりやすく、被害を受けやすい環境だ。
今後「大規模化・多発化」の懸念も
もともと土砂災害が起こりやすい日本ではあるが、冒頭で触れたように、近年その数が増加しているのはなぜなのか。 様々な理由が考えられるが、国交省水管理・国土保全局砂防部によると、その要因のひとつとして、気候変動とそれに伴った雨の降り方の変化(まとまった雨が同じ場所に降る)が考えられるという。 また、宅地開発が進み、昔に比べてより危険性がある地域に人が住むようになったことも、被害の増加につながっているようだ。 今後、地球温暖化の影響を受け、土砂災害の大規模化・多発化や、雨が降り始めてから土砂災害が発生するまでの時間が短くなる可能性も懸念されている(国交省 「実効性のある避難を確保するための土砂災害対策検討委員会」報告書 2019年5月より)。 まずは、自分が生活する地域について知り、対策を講じることが鍵になるだろう。 次回は、危険な場所の特徴や、土砂災害の前触れを知る方法について紹介する。 【出典・参考】 NPO法人 土砂災害防止広報センター「学び伝える 土砂災害を防ぐ、備える、学ぶ、伝える」
プライムオンライン特集班