毎日入浴すると心疾患や脳卒中のリスクが減る。「40℃の風呂に10分」がコツ
私たち日本人にとっていちばん身近で効果の高い健康法が、毎日湯船につかること。入浴の基本を押さえておけば、免疫力アップ、疲労回復はもちろん心の安定や美肌効果も得られます。その方法を、温泉療法専門医の早坂信哉先生に教えてもらいました。
入浴で健康に。毎日、40℃の風呂に10分つかろう
「最も身近ですぐにできる健康法は入浴。毎日湯船につかっている人は、週に2回以下しかつからない人に比べ、心疾患や脳卒中、糖尿病のリスクが低く、さらに介護状態になるリスクが3割少ないという調査結果があります」 そう語るのは、お風呂や温泉の医学的効果に詳しい温泉療法専門医・早坂信哉先生です。入浴の健康効果は、体温が上がって血管が広がり、血流が上がることに起因するといいます。 「体内に酸素や栄養素を届けて代謝を促す血流は、健康の土台。血流がよくなると、免疫力がアップし細胞が活性化。睡眠の質も上がります。 また老廃物をしっかり排出し、肌のターンオーバーを促すため、体を若々しく保てます」 入浴は心にもよい影響を与えます。温かい湯につかると幸せな気持ちになるのは、「ストレスホルモンの『コルチゾール』が減り、幸せホルモンの『オキシトシン』が増えることに関係しています」 こうした効果を最大限に得るには、正しく入浴することが欠かせません。基本の入浴法は「40℃の湯に10分、肩までつかる全身浴」です。 「熱めの湯の方が体が温まると思いがちですが、42℃以上になると交感神経が優位になり、血液の粘りが増したり血圧が過度に上がったり、体に負担をかけます。少しぬるめの40℃の湯に10分ほど入ると、体温が0.5℃から1℃上がり、血流が改善されることがわかっています。 また、リラックスや血流改善を促す『浮力』と『水圧』の効果もしっかり得るためには、全身浴がいいのです」
安全な入浴のために知っておきたいこと
入浴でより免疫力を高めるには、目を閉じて湯船に肩までつかり、腹式呼吸で3秒息を吸い、口をすぼめて5秒かけて息を吐きだすのを、繰り返し行いましょう。 体調が優れないときは無理に入らないことも大切です。入浴前に上の血圧が160以上、下の血圧が100以上、体温が37.5℃以上のいずれかに当てはまる場合は、入浴は避けるべきです。 また、もし入浴中に不調をきたした家族を見つけた場合は、まずは溺死を防ぐために湯船の栓を抜きます。次に、窓やドアをあけて涼しくさせて、湯船の外で横向きに寝かせます。 このように、安全に留意して、「健康で長生き」を引き寄せる入浴を楽しみましょう。