料理家・今井真実さんがたどり着いた、インターネット時代にあえて「レシピ本」を出す意義とその役割
Yummy! 今月のミニレシピ:自家製すりおろし生姜
「生姜を皮付きのままざっくり切って、同量のハチミツとすりおろし状態になるまでフードプロセッサーで撹拌します。写真の生姜は約400g、はちみつも同量です。 冷蔵庫で2ヶ月は平気で日持ちします。」
2日に1回書店に行く今井さんが、予約してまで発売を待ちわびていた一冊
書店に行くと必ずチェックするのは、レシピ本のコーナー。しかも、私は2日に1回の頻度で書店に行くので、かなりこまかく新刊を確認しています。ほとんどの本は棚での偶然の出会いで購入するのですが、発売を心待ちにして予約して受け取る喜びはまた格別なのです。 今回、ご紹介するレシピブックはそんな私が待ちわびていた一冊。 有賀薫さんの新刊『おうちごはんは日々のくりかえし。料理家がふだん気ラクに作っているレシピ』(KADOKAWA)です。 この本は、スープ作家として著名な有賀薫さんの初めてのメイン料理中心のおかず本。あらゆるスープを作り尽くしてもなお、魔法使いのように新しいレシピをどんどん生み出す有賀さんですが、メイン料理のレシピはどんな内容なのでしょう!? レシピの中身が知りたくて発売前からワクワクしていました。
「いつものあれ」でいいじゃない!と背中を押してくれる、マンネリだって前向きに捉えられるレシピ本
本書のコンセプトは「リアルな有賀家の料理」。「同じものをくりかえし作っても違うものに見えるコツ」がレシピの随所に散りばめられています。これは、有賀さんが普段から読者の方々と対話を繰り返しているからこそ、皆さんの気持ちを理解し伝えたかったことだと思います。 「いつも作るものがいっしょになってしまう」。料理の悩みはなんですか?と聞いた時に、いつも必ず議題に上がるトピックです。 しかし本書では、あえて「いつものあれ」でいいじゃないと背中を押してくれます。いつもの料理こそ、くりかえし作って自分の礎になっているはず。有賀さんの手にかかれば、マンネリだって前向きに捉えられるのです。 それに……「いつものあれ」でも、少し工夫するだけでも全然違うものになるでしょう? そんなふうに有賀さんがそのメソッドをこっそり教えてくれるレシピブックなのです。 作るものが決まらないというお悩みも、ある程度「習慣」という型を取れば良いということがよくわかります。 たとえばお味噌汁が毎日でも、お茶碗に盛られたごはんが毎日でも、「えー!? またー!?」という声は上がりにくいはず。これって、意識の差ではないかと思うのです。お味噌汁と白いご飯は「習慣」になっているからマンネリとは感じません。 だから、たとえ同じおかずが何度も出たとしても、もう「習慣」になってしまえば良いのかもしれませんね。たとえば海上自衛隊の金曜日のカレーのようにね。ちなみに我が家は冬の日曜日は鍋と決まっています。材料を切るだけだし、鍋をつつきながらゆっくり大河ドラマを見たいのです。 選択肢が多いから迷うのであり、あえて選択肢を減らし、アレンジを施すことで、マンネリは防げる、気がラクになる、という有賀さんのお考え方はごもっとも!