【詳報】「危険警報」新設だけがポイントではない 気象に関する防災情報は2年後、こう変わる 第1回“最難関のパズル”は解けたか
これらのうち、今回の報告書が改善の対象としたのは、おもに ・警戒レベル相当情報 ・防災に関連の強いその他の情報 以上2つのカテゴリーの情報だ。 ■警戒レベル相当情報 整然としていない現在の情報体系 図-3は現在の気象庁等が発表する情報や市町村の対応、住民のとるべき行動を示したものだが、あまりに雑然としていて、ポイントがどこにあるのか何度見直しても頭に入ってこない。このうち警戒レベル相当情報に該当するのは「気象庁等の情報」の下に記載された情報だ。 個別に見ていくと、危険度の高い順に、「大雨特別警報」の下には「土砂災害警戒情報」、「大雨警報」または「洪水警報」と続くのに対し、「氾濫発生情報」の下は「氾濫危険情報」、「氾濫警戒情報」、「氾濫注意情報」となっている。情報名に共通性がなくバラバラだ。 一方、高潮にはレベル4相当に「高潮特別警報」と「高潮警報」が並存していて理解に苦しむし、情報名が似ているのに「土砂災害警戒情報」はレベル4相当で、「氾濫警戒情報」はレベル3相当というのも釈然としない。 当初、この図からはわかりやすく説明しようとする意図が微塵も感じられないと憤慨していたのだが、情報の体系と名称がこのような状態では、わかりやすくすること自体が到底不可能だと後で気づいた。 ■技術の向上と「警戒レベル」が“カオス”を生んだ いったいなぜ、こんな“カオス”な状況が生まれてしまったのか。 気象庁等が発表する防災関連の情報、なかでも気象に関する情報は、近年の気象災害の激甚化・頻発化等を背景に、「技術の向上」や「改善」という名の下に新設または更新され続けてきた。図-2はその結果でもある。その流れを頭から否定する気はないが、整理されないまま情報が乱立し複雑化する形となり、いつしか現在の「シンプルでなく、わかりにくい」ものに変わってしまった。 さらに2019年5月、内閣府主導で「警戒レベル」の運用が始まったことで、情報同士の関係は一層複雑になった。