過去最高益!データ主義で顧客を振り向かせる「三越伊勢丹」の戦略
百貨店の未来形が見えた~「館」全体で盛り上げる
三越が百貨店の名を掲げて120年。客に尽くすというその決意は続いている。 三越日本橋本店の食品売り場のお酒コーナーをのぞいてみると、並んでいたのはユニークなデザインのカップ酒。漫画家・水木しげるさんが育った鳥取・境港市の蔵元「千代むすび酒造」のものがあれば、インパクトのあるデザインの新潟・佐渡市「北雪酒造」のカップ酒もある。 これは食品売り場の社員たちが考えたミニ企画。より楽しく酒を飲んでもらおうと全国からカップ酒を集めた。 一方、本館6階で客を集めていたのは、1927年に会場した三越劇場。この日は、さだまさしさんプロデュースの落語会という、ユニークな企画が行われていた。 館をあげて客を楽しませる、その努力に終わりはない。 ※価格は放送時の金額です。 ~村上龍の編集後記~ 三越伊勢丹は客を識別している。選んでいるのは単なる金持ちではない。岩田屋三越時代、年300万円以上の買い物をする富裕層向けのラウンジを作ったが、それは客とのコミュニケーションだったように思う。「マスから個へ」という考えは時代にマッチしている。新宿伊勢丹はファッションで若年層からも高い人気を誇り、百貨店の店舗別売上高において日本一であり、小売業全体でも日本一だ。百貨店をブルーオーシャンと評する細谷さんは、上質な客を求めている。上質な客の数は増えていくだろう。「マス」から「個」が生まれる。 <出演者略歴> 細谷敏幸(ほそや・としゆき)1964年、東京都生まれ。1987年、早稲田大学法学部卒業後、伊勢丹入社。2015年、三越伊勢丹執行役員就任。2018年、岩田屋三越社長執行役員就任。2021年、三越伊勢丹HD代表執行役社長就任。 ※「カンブリア宮殿」より