【新春インタビュー 広島・床田(2)】急失速した9月が配球の選択肢広げるきっかけに 家族の存在も支え
広島・床田寛樹投手(29)が本紙の新春インタビューに応じ、2025年の漢字に「超」を選んだ。成績で①背番号「19」を受け継ぐ野村祐輔氏(3軍投手コーチ兼アナリスト)を超える②過去の自分を超える③大瀬良大地、森下暢仁両投手を超える――。初の開幕投手にも意欲を示す左のエースは「成績でチームを引っ張っていきたい」と言葉に力を込めた。(取材・構成 江尾 卓也) (1)からのつづき ――急失速した9月。年末にあった契約更改の席でもっと気持ちを強く持っていれば”と振り返っていました。 「誰も(連敗を)止められなかったから、“頼む、止めてくれ”と思っていましたね」 ――気持ちの切り替えができなかったのでしょうか。 「いや、僕はやっていたつもりです。前回はこういう気持ちで臨み、こんな結果だったから、次はこういうふうに…とか。みんなも同じだと思いますよ。でも、結果は変わらなかったですけどね」 ――今季、9月に同じ状況を迎えたら経験を生かせる自信はありますか? 「ありますね」 ――それが“もっと気持ちを強く”という発言につながったということでしょうか。 「はい。それと配球を変えると思います。配球にも経験を生かせると思いますね」 ――具体的にはどういう点でしょうか。 「ピンチになった時に選択肢が凄く狭まっていたんです。後から振り返れば…の話ですけどね。それまでは、こういう攻め方があるし、あれもある、コイツはいいから次で勝負しよう…とか、いろいろ選択肢はあったんです。それがあの9月は、インコースにバーンと厳しい真っすぐをいったら、次はボール球で誘おう…という発想がなくて、インコースにいい球がいったら、次はもっと厳しいところに投げようとした。(捕手の)坂倉からそういうサインが出ると、僕もそれしかない!という頭で」 ――なるほど。 「僕の技術不足でもあるんですけど、サンタナに3ランを打たれた時(9月19日、ヤクルト戦)も、内角に真っすぐをいって、インコースのカットボールをホームランにされているんです。ツーシームで良かったじゃん…とは、後から思った。お互い、余裕がなくなっていました」 ――そのツーシーム。右打者は被打率が.190なのに、左打者は.333だった。原因はどこにある…と? 「一昨年は、左打者の被打率が低かったんです。データで見せてもらったんですが、その時はちゃんと(左打者の)インコース低めに動いていた。それが昨季に関しては、真ん中低めにいっているんですよ。それが要因だと思います。左打者は逆方向に(意識が)入るから、真ん中に入ると打てる。内角なら詰まるんですけど」 ――そこの制球は練習で改善できるものでしょうか。 「やろうとしたんですが、できなかったですね。落ちも悪くなっていました。それは多分、カットボールを数多く投げたから。投げ方が逆なので」 ――難しいですか? 「難しいですね。どっちかの球を磨けば、反対側に影響する。でも、戻る場所をちゃんと分かっていれば、また戻せる。それと、さっき言った真っすぐの平均球速を上げられれば、ツーシームも良くなると思いますよ」 ――直球とツーシームの落ちは連動するということでしょうか。 「と思います。右足首を骨折した22年は、ツーシームが昨季より20センチぐらい落ちているんです。真っすぐをもう一回磨いて、平均球速を上げたら落ちてくれると思います」 ――そこも、もろもろの成績を「超」える根拠になるということですね。キャリアハイを目指す中で、一番達成したいものはなんですか? 「うーん…獲れる可能性があるとしたら、(打線の)援護があっての最多勝ですかね。他力ですけど」 ――3年連続で2点台(23年は2.19)だった防御率も、タイトルを狙えるのではないでしょうか? 「出来過ぎだと思いますよ。自分の中で、ちゃんとやれば2点台で終わるだろう…っていう謎の自信はあったんですけど(笑い)」 ――もっと頑張ろう、高みを目指そう…という、やる気の源になっているものは何ですか? 「子供が生まれてから、いろいろ考えるようになったですね。僕一人なら何でもいいんですけど、家族ができて、子供が生まれてからは考える。残せるものは残していかないと。現役も、できるだけ長くやりたいと思うようになりました」 ――もろもろの成績を「超」えて、チームを引っ張ってください。 「頑張ります」 =終わり=