稲盛和夫が激ギレした管理職の「評論家しぐさ」口だけ社員への叱責が正論すぎて涙目になる…
● 「公平で公正」な叱責とは? 種明かしは後にするとして、まず「叱る」「指導する」ことについての研究データを紹介したい。叱ることは精神論になりがちだが、研究では意義が認められている。 最近、「叱るのが苦手」「指導が関係悪化を招く」として、部下の厳しい指導を避ける上司が増えている。しかし、職場の成長や従業員のスキル向上を考えると、的確な「叱責」は不可欠だ。 ある実験では、上司が適切に叱ることで職場の公正さや信頼感が維持され、組織全体の士気が高まることが示されている。 実験は、アメリカ中西部の大学に通う大学生385人を対象に行われた(クリストファー・ニューポート大学『従業員の叱責に関する対照的な情報によって変化する観察者の公正知覚』2023年)。 架空の職場で上司が部下を叱責する場面を観察させ、「その叱責が公正かどうか」について評価させた。学生たちは観察者の立場で、叱責が妥当か不当かを判断するという形式だ。
● 2つのシナリオから浮かび上がった事実 実験では2つのシナリオが提示された。 1つ目は「責任がある」とされたケースで、同僚がミスを犯し叱責される場面。観察者は「妥当だ」と感じることが多かった。一方、「責任がない」とされたケースでは、ミスとは無関係な同僚が叱責され、観察者は「不公平だ」と感じる傾向にあった。 2つ目のシナリオでは、当初「責任がある」と思われた同僚が後に「責任がなかった」とわかる状況を示した。こういった場合、観察者は叱責を「不公正」と強く感じ、場面に不快感を抱くだけでなく、上司や職場全体への信頼感も低下する傾向が確認された。 研究結果は、当たり前のことを言っているようで、よく考えると大事な結論を得ていると思う。 まず、叱ればいいというものではない、ということだ。なかには、叱ることで上下関係を意識させる「イビリ」のようなものが存在する職場もある。 このような行為がいかに、現場のモチベーションを減らしているか。上司が部下を叱る際に従業員が「公正だ」と感じるか否かが、職場の信頼に大きく影響することを示している。