稲盛和夫が激ギレした管理職の「評論家しぐさ」口だけ社員への叱責が正論すぎて涙目になる…
● 「甘えを許さない」JAL報告会 特に、不当な叱責が行われると観察者が上司や職場への不信感を抱き、職場環境が悪化するリスクが高まる。上司に求められるのは、「責任の有無を確認し、公正に対応する」ことだ。誤った情報に基づく叱責は、同僚や観察者に「この職場は不公平だ」との印象を与えかねない。 そのため、上司は事実確認に手間を惜しまず、根拠を持って指導することが必要である。正当な叱責が行われれば、観察者も「信頼できる職場」と感じ、チーム全体の士気も高まる。 冒頭で触れたJALの報告会における稲盛氏の叱責は、職場の「公正さ」にもつながっている。先の実験が示すように、「公正な叱責」は職場の信頼感を高める一方、曖昧な情報や誤解に基づく叱責は士気を低下させるリスクを伴う。 JALの報告会では、業績の良し悪しにかかわらず厳しい指摘をすることで、幹部たちに「甘えを許さない」「結果のみならず過程も評価する」という公平な姿勢を示していた。 公正な叱責が職場全体に浸透すると、社員は「この会社では努力が正当に評価される」と感じ、さらに信頼感を持つようになる。 では、なぜ稲盛氏はここまで厳しい叱責を続けたのか?
● 「叱れない上司」が増殖するワケ それは単に部下を責めるためではなく、業績報告を通じて「経営に真摯に向き合う幹部を育てる」という強い意志があったからだ。 JALが倒産の危機から再生を果たした背景には、「厳しい叱責が成長の契機になる」という稲盛氏の揺るぎない信念があった。叱責は決して悪意によるものではなく、部下と真剣に向き合い、彼らが成長するための「道しるべ」として機能するものである。 叱責を受けた菊山氏も、「稲盛会長ほど真剣に叱ってくれる上司はいなかった」と語り、叱責を「信頼の証」として受け入れている。厳しい指摘を受けることで、幹部たちは「自分の仕事に責任を持ち、現状を深く分析し課題解決を図る」意識を高めていく。 近年、「叱れない上司」が増えている。上司が「関係悪化」や「やる気低下」を恐れて指導をためらうケースが増加しているのだ。一見「優しい職場」に見えるかもしれないが、実際にはミスや改善の機会が見過ごされ、職場全体の基準も曖昧になるリスクがある。 ここで筆者が投げかけた「稲盛氏は何に対して烈火のごとく怒っていたのか」という疑問に戻ろう。菊山氏の発言の続きに、その答えがある。