ゼロ・ウェイスト宣言から20年目の葛藤と、自ら選んだ持続可能な未来
順風満帆に見える、上勝町のゼロ・ウェイストの取り組み。そのど真ん中で、清濁合わせ飲みながら上勝町とともに生きてきた人物が、合同会社RDND(アール・デ・ナイデ)代表の東輝実さんです。 「一年くらい前に比べて、憑き物が落ちた感じ」と笑う東さんに、外から見える華やかさからは分からない泥臭さや葛藤を聞きました。
東輝実 代表社員 徳島県上勝町出身。関西学院大学総合政策学部在学中よりルーマニアの環境NGOや、東京での地域のアンテナショップ企画のインターンを経験。大学卒業後、上勝町へ戻りRDNDを起業。2013年「五感で上勝町を感じられる場所」をコンセプトに「カフェ・ポールスター」をオープン。2020年ゼロ・ウェイストをベースとした上勝町滞在型プログラム「INOW(イノウ)」を共同創業者としてスタートさせる。2021年上勝町よりゼロ・ウェイスト計画策定事業を受託。その他、上勝町ゼロ・ウェイスト推進員、上勝町総合戦略会議委員をつとめる。(INOW公式サイト より) (https://inowkamikatsu.com/terumi-azuma/)
面白かったはずなのに、どうして苦しいんだろう
── 東さんは上勝町出身ですよね。新しいゼロ・ウェイスト宣言が採択され、地域として二周目に入ったような印象を受けるのですが、町の変化をどう感じられますか。 東 今まではこちらから発信しなくても、ゼロ・ウェイストや「葉っぱビジネス」で知られる「株式会社いろどり(https://irodori.co.jp/)」に注目した方々が自発的に来てくれていました。そのため、いわば自分たちで「どうやって上勝町を伝えていこうか」と考える必要がなかったんです。 「地方創生」や「地域での起業」「SDGs」「サステナブルツーリズム」など、時代とともに生まれる様々な言葉とともに、上勝町を取り上げてもらってきました。でも最近は「上勝町としてどうありたいか」を私たち地域側から発信していく重要性を感じています。 ── そう感じるようになったきっかけは? 東 新しいゼロ・ウェイスト宣言が採択される時期だったことと、個人的な気持ちの変化が影響してると思います。 ゼロ・ウェイストに関しては、私が中学校に上がったころから始まりました。当時は今のようなごみステーションではなく、道路際にコンテナを置いて、住民はそこにごみを持って来ていました。私も学校が休みの日は、空き缶を洗ったり、集めたごみを積み込んだりする手伝いをしていましたね。 そういう生活が当たり前だったから、ゼロ・ウェイストに関して、あまり深く考えずに受け入れていました。ゼロ・ウェイストについて考えることは当たり前だし、いつか貢献したいとずっと思っていたから、大学を卒業したあとに地元の上勝町に戻って来ました。 でも一年くらい前「どうして上勝町を選んだの」という質問に、すぐ答えられなかったんです。「私は本当に自分で選んだのか?」って立ち止まってしまって。