4000年前の「答案用紙」に計算ミスを発見! 古代バビロニアの高度な数学教育を裏づけ
イラクにある古代都市キシュの遺跡で1931年に、古代バビロニア時代(紀元前1900年~1600年)の楔形文字が刻まれた粘土板が20数枚発見された。現在はオックスフォード大学のアシュモレアン博物館に所蔵されているこの粘土板を同館が調べたところ、テスト用紙として使われていたことが分かったとLIVE SCIENCEが伝えた。 【写真】2024年に発見された「幻のお宝」ベスト8 そのうちの直径約8センチのものには、三角形の面積を求める課題が記されていた。三角形の高さは1.875センチ、底辺が3.75センチとされている。正解は底辺×高さ÷2で3.5156なのだが、生徒はこれを3.1468と誤って計算していた。ZME SCIENCEによると、アシュモレアン博物館の研究員は、この誤りは中間計算の60進法の位を間違えたために生じたようだと指摘する。 古代バビロニアの数学は当時としては非常に高度なものだった。彼らは60進法を使用しており、その名残は現在でも1分は60秒、1時間は60分という時間の測定方法に残っている。驚くべきことに、バビロニアの学者たちは、ピタゴラスより千年以上も前にピタゴラスの定理を理解しており、直角三角形の直角を挟んだ2つの辺の二乗の和が斜辺の二乗に等しいことを認識していた。 古代バビロニアで数学教育が盛んになった理由として、バビロン王朝の繁栄がある。文明の発達には、税金の計算や貿易と通商の集計、暦の制定などが必要だったのだ。人類は間違いを重ね、試行錯誤しながら発展してきた。バビロニアの学生の学習プロセスは、現代にも通じていると言えるだろう。
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