ドイツの工業力が生んだ「狂気」の自動車デザイン ゲルマン魂が光る奇妙なクルマ 30選 前編
ゴッゴモビルTSクーペ(1957年)
風変わりな名前が、突飛なデザインをそのまま示唆していることがある。TSクーペもその好例だ。ゴッゴモビル(Goggomobil)の生みの親であるハンス・グラスは、自動車業界に転向する前は農業機械で知られていた。最初のモデルは1954年のコンパクトなT250(Tセダン)で、その後1957年に高価なTSクーペが登場した。 奇妙なサイズ感だが、そのサイズゆえに大成功を収めた。このデザインは、1966年にBMWがグラスの特許を取得するために同社を買収するまで受け継がれた。
ツェンダップ・ヤヌス(1957年)
正面から見るとヤヌスはBMWイセッタに少し似ているが、横から見るとあまり似ていない。二輪車メーカーであったツェンダップ(Zundapp)は、1956年から「高品質のバブルカー」の生産に注力するようになった。航空技術者のクロード・ドルニエは、主にドルニエDo X飛行艇の設計で知られており、ヤヌスの構想を練るために雇われた。 前後2枚のドアがあり、4人乗りだが、後部座席は後ろ向き。1958年の生産終了までに6900台が生産された。主な設計上の欠点はハンドリングの悪さで、エンジンが軽すぎたことと、乗車人数によって重心が大きく移動することが原因だった。
アンフィカー(1960年)
アンフィカー(Amphicar)は、戦時中に使用されたフォルクスワーゲンの水陸両用軍用車、シュビムワーゲンからインスピレーションを得た。トライアンフ・ヘラルド1200のエンジンをリアに搭載し、2基のプロペラを駆動した。 今日BMWの経営権を握ることで知られるクアント家が所有する会社によって、3878台が生産された。著名なオーナーの1人に、リンドン・ジョンソン米大統領(写真)がいる。彼はテキサスの牧場で、ブレーキが故障したふりをして乗客を怖がらせながら湖に突っ込む遊びを楽しんだという。
フォルクスワーゲン・タイプ181(1968年)
タイプ181には、「トレッカー(Trekker)」や「シング(Thing)」など、さまざまな名前が与えられた。フォルクスワーゲンの誰が同車の設計を担当したのかは不明だが、もともとは西ドイツ軍のために開発されたものだった。カルマンギアのフロアパンと分割式フロントガラスのT2のリアサスペンションを使用している。鮮やかなカラーリングの民間仕様も用意された。