ドイツの工業力が生んだ「狂気」の自動車デザイン ゲルマン魂が光る奇妙なクルマ 30選 前編
フルダモビルNWF 200(1954年)
NWF 200は、BMWイセッタと同じくマイクロカーに分類されるが、サイズはわずかに大きい。子豚のような奇抜なデザインで、リアヒンジドアと、ランボルギーニに見られるような窓付きのリアエンジン・ハッチを特徴とする。 こうしたデザインは、フリージャーナリストのノーバート・スティーブンソンのコンセプトだ。スティーブンソンは自動車デザインのベテランというわけではないが、アイデアは単純だった。バブルカーよりもわずかに大きく、安定性が高く、リアの小型エンジンで走るというものだ。
メッサーシュミットKR200(1955年)
KR200を見ると、飛行機のようなキャノピーに目を奪われることだろう。これは、KR200の設計者フリッツ・フェンドが航空技術者だったからだ。フェンドは、KR200以前にもこのようなキャノピー付きのマイクロカーを設計したことで知られている。すべては1948年、第二次世界大戦によって生まれた多くの身体障害者のために、簡単に乗り降りできる乗り物として作られたフェンド・フリッツァーから始まった。 実際には、フリッツァーの購入者の多くは身体障害者ではなく、単に安価な交通手段を求める人々だった。その結果を受け、2人乗りのフェンド150、KR175、そして最終的にKR200が生まれた。KR200は、KR175を再設計し、新しいメカニズムを搭載したもの。1964年に生産終了し、メッサーシュミットは航空機産業に戻ることになった。
ハインケル・カビーネ(1956年)
バブルカーブームの中でもう1つ異彩を放ったのが、ドイツの元航空機会社ハインケル・フルークツォイクヴェルケがデザインしたカビーネである。メッサーシュミットと同様、同社も手頃な価格の乗り物を求める人々の需要に気づいていた。 カビーネの非常に珍しい特徴は、リバースギアが付いていることと、万が一フロントドアが衝突して開かなくなってしまった場合に、布製のルーフが脱出用ハッチとして機能することだ。BMWを怒らせないために、カビーネのステアリングホイールはドアと一緒に開かないよう(イセッタと異なる構造)にして、特許戦争を避けた。