シンガポール、ワールドコインのアカウントとトークンの売買サービス提供者を捜査。先月は逮捕者も
ワールドコインアカウント等販売の違法行為者を捜査中
シンガポールの警察が、ワールドコイン(Worldcoin:WLD)のアカウントやトークンの売買サービスの提供への関与が疑われる違法行為者を捜査している。同国の副首相でシンガポール金融管理局(MAS)のガン・キムヨン(Gan Kim Yong)会長の言葉として9月9日発表された。 同発表は、シンガポールにおけるワールドコインの事業に関するリスクを問う国会議員2名による議会質問の回答の中でなされた。 ガン会長は回答の中で、「ワールドコインは2019年ペイメント・サービス法(PS法)に基づく決済サービスを行っていないが、ビジネスとしてワールドコインのアカウントやトークンを売買する者は決済サービスを提供している可能性がある」とし、7名の対象者を捜査していると述べた。 シンガポール警察は8月7日、ワールドコインのアカウントとトークンの売買サービスを提供した疑いで、男性4人と女性1人をPS法に基づき逮捕した。200台以上の携帯電話を含む品物が証拠として押収され、5人の捜査は続いている。なお同国でライセンスなしに決済サービスを提供した場合、最高12万5000ドルの罰金、最長3年の懲役、またはその両方が科せられるとのことだ。 警察は違法に販売されたワールドコインのアカウントやトークンは、マネーロンダリングやテロ資金供与などの犯罪行為に悪用される可能性があると警告し、そのような口座の譲渡・売買を行わないよう一般市民に呼びかけている。 ワールドコインは、デジタルIDと無料の暗号資産を引き換えに、同社の「オーブ」デバイスで虹彩をスキャンすることを人々に奨励している。 ワールドコインのウェブサイトによると、160カ国以上の500万人以上が虹彩のスキャンに登録しているという。しかし、このプロジェクトは個人データの収集、保管、使用に関して批判を浴びている。 複数の国々、そして特に欧州諸国の規制当局が、データベースが悪用される可能性があると、ワールドコインについて懸念を表明している。
髙橋知里(幻冬舎 あたらしい経済)