旭化成・三菱ガス化学…自動車向け狙う、軽くて高耐久「炭素繊維素材」の強み
大手化学メーカーが炭素繊維を活用した素材の提案に力を入れている。旭化成は炭素繊維とポリアミド樹脂を組み合わせた材料で車載向け金属代替需要などを狙う。炭素繊維のリサイクル技術も生かす。三菱ガス化学は技術力を生かした熱可塑性炭素繊維複合材料(CFRTP)関連製品などを訴求する。自動車向けなどの軽量高剛性のニーズに対応する。 【写真】三菱ガス化学の炭素繊維素材 旭化成は炭素繊維とポリアミド樹脂を組み合わせた材料「UDテープ」を手がける。一つは電気自動車(EV)シフトによる部品の金属代替需要を想定する。例えば、サスペンションアームでは従来は鉄などの金属が使用されてきたが、ポリアミド樹脂「レオナ」をUDテープで補強することで、強度などを有しながら約20%の軽量化につながるという。 また、UDテープはライフサイクル全体で環境負荷低減に取り組む。炭素繊維複合材料の端材や廃材をリサイクルして、耐衝撃性などに優れた不織布にする技術を生かす。炭素繊維を電解硫酸法によって連続繊維としてリサイクルできるのも強みだ。 一方、三菱ガス化学は技術力を生かしたCFRTP関連製品などでの需要を探る。このほど都内で開いた「先端材料技術展2024」では、CFRTPを使ったソリを製作し、展示した。 樹脂繊維と炭素繊維を高分散させることで高強度ややわらかさの特徴を持たせつつ、TFP(テーラードファイバープレースメント)工法によって最小限の材料で高強度と軽量化を実現する点などが特徴だ。自動車や航空宇宙など、幅広い分野で活用できるとみている。