年末年始の9連休明け 初日に会議はあり?なし?
5年ぶりの9連休となる年末年始。帰省や旅行を予定する人、「寝正月」を満喫する人もいるだろう。ただ、長期休み明けの出社は気が重い。管理職ができることや気持ちが楽になる働き方について、産業カウンセラーの渡部卓(わたなべ・たかし)さん(68)に聞いた。 【図解】連休明けの合言葉「はひふへほ」とは? ◇「出社したくない」85.6% オフィス家具の製造販売などを手がける「プラス」(東京都)が2023年7月、会社員や公務員500人を対象に実施したインターネット調査では、長期休みの後に「出社したくない」と思ったことがあるとの回答は85・6%に上った。 正月休みやお盆休みなどの長期休みの後には多くの人が憂鬱な気持ちを抱えていることがうかがえる。 渡部さんは「精神科医の友人からは、長期休み明けの次の週くらいから患者さんが増えてくると聞きます。連休明けの対策が大切です」と話す。 管理職向けの研修も多く受け持つといい、管理職からは「年明けは『怖い』」との声も上がるという。クリスマスや新年会で同級生や友人に会い、転職が話題に上る。連休明けに転職を考えて、「辞めたい」と言い出す人がいるからだ。 ◇管理職がすべきこと 休み明けの社員の心身の不調や離職を減らすために、管理職ができることはあるのだろうか。一つは連休明けの会議をずらすことだ。 渡部さんは「私も昭和世代の管理職だったものですから、連休明けは朝8時から会議を開いて気を引き締めていこうと、昔はよくやったのですが、今は時代も変わってきています」と指摘する。 「連休を長く取る人もいるし、連休明けはミスもしやすいから、会議はやらないほうがいい。自分が緊急と思っていても、そんなに緊急じゃないことも多いのではないでしょうか。連休明けの日とその翌日は会議を開かず、ずらす対応が望ましいと思います」 官公庁では慣例だった仕事始め式を「働き方改革」で取りやめる動きもある。セミナーの講師として官公庁や民間企業と接している渡部さんは「昔からの慣習で連休明けに会議を開く職場と、柔軟に対応して会議をずらす職場と二極化しています」と語る。 ◇連休明けは「はひふへほ」 一方、社員はどのような気持ちで仕事を始めればよいのだろうか。渡部さんは「はひふへほ」を提唱する。 「は」は「半分でいい」、「ひ」は「人並みでいい」、「ふ」は「普通でいい」、「へ」は「平凡でいい」、「ほ」は「程々でいい」。 米国企業での勤務や中国の大学の客員教授を務めたことなどで海外との違いも感じたという。 「海外では長い連休明けはゆるくスタートするんです」。勤めた米国企業ではそもそも月曜日の午前中の会議は禁止されていた。中国では連休明けには「お茶タイム」が増えたという。 ◇優先順位をつけて 勤務時間外は電話やメールを拒否できる「つながらない権利」が広く知られるようになり、連休中は連絡が少なくなった一方で、仕事始めにメールが続々と届くケースもある。 「連休明けの日には、緊急性や重要性によって仕事の優先順位づけをしながら整理していくと、気持ちも落ち着いてきます。紙に書き出してみるアナログな方法でもいいですし、AI(人工知能)を活用する方法もあります」 連休中に生活リズムが乱れてしまう人もいる。「仕事始めの前日の夜は早めに寝る、当日の朝は早めに会社に行く、少し早く起きて5分、10分運動するなど、生活リズムを元に戻すことの優先順位を上げた方がいいですね。SNS(ネット交流サービス)を見ない時間を意識的に作って、睡眠時間を確保するのも一つの方法です」【御園生枝里】