大ブーイングを浴びた大谷翔平に敵将がかけた言葉…「いつかブルージェイズの帽子を」【2024年ちょっといい話】
【大谷翔平と仲間のちょっといい話(第2回)】 昨年12月。ブルージェイズファンの大きな期待感は、一瞬にして泡と消えた。大谷翔平のFA移籍を巡る報道。大リーグの有名記者が自身のSNSで「大谷翔平がトロントに向かった」と報じた。カリフォルニア州からプライベートジェット機の追跡騒動も起きたが、実際は、大谷は家にいた。それは「世紀の誤報」だった。翌日、大谷はドジャースとの契約を発表した。 ◆大谷翔平、ベビー服&エコー写真とデコピン投稿【写真】 今季4月26日。大谷がドジャーブルーのユニホームを着て、初めてカナダのトロントを訪れた。スーパスターを取り逃がしたファンの失望は、大谷への大ブーイングに変わった。普段は温厚なファンの悔しさ。大谷は「僕もブルージェイズのファンだったらブーイングする」と理解を示した。 翌日の練習中。ブルージェイズのシュナイダー監督は大谷翔平の元に歩み寄った。2人が直接顔を合わせるのは、FA交渉の面談以来だった。両者は笑顔を弾けさせながら、楽しいひと時を過ごした。 談笑後、監督は大谷との会話の一部を明かした。「昨日のブーイングはごめんね。今日はお手柔らかにって言ったんだ」。結果的に振られた相手となったが、和やかな時間を過ごせるのは、2人の人徳だろう。 昨年、交渉の席でブルージェイズの帽子を渡していた。ドジャースがカナダに来る前、地元メディアに「あの帽子を返してほしい」と冗談を飛ばしたが、我々の取材に監督は柔和な表情で言った。 「帽子は返してもらってないよ(笑)。まだ、翔平の家のどこかにあるといいね。新しい帽子だし、彼は長くプレーするだろうから、いつかその帽子をかぶってプレーしてほしい」。いつか一緒に戦う「仲間」に-。大谷翔平に関わると、敵将もその魅力に取りつかれる。(阿部太郎)
中日スポーツ