エバンス、波乱万丈の週末。最後尾からまさかの優勝「レース前は、チェッカーフラッグが見たいとだけ思っていた」
フォーミュラE開幕戦サンパウロE-Prixで最後尾グリッドから衝撃的な勝利を飾ったミッチ・エバンス(ジャガー)は、「ただチェッカーフラッグを見ることだけを望んでいた」と明かした。 【リザルト】フォーミュラE開幕戦サンパウロE-Prix:決勝結果 エバンスは今回、パワートレインのトラブルに悩まされ、フリー走行1回目にストップ。予選でもラップを刻むことができなかった。 2023年にサンパウロで優勝し、今年3月に行なわれた昨シーズンのレースでも2位とゲンの良いレースで、エバンスは躍動。最後尾からスタートし、素早くポジションを上げていった。 レースは今季から四輪駆動が可能となるアタックモードが強力でオーダーが目まぐるしく入れ変わり、赤旗も2度出されるという波乱の展開となったが、残り4周でレース再開となった段階でエバンスは首位。そのまま逃げ切り、開幕戦を勝利で終えた。 フォーミュラE史上初めて最後尾グリッドから優勝を果たしたドライバーとなったエバンスは、「今日はクレイジーだった」と語った。 「グリッドに並んだときは、まずチェッカーフラッグを見たいと思っていた」 「この2日間、コース上でいくつか問題があって、そのせいで予選に出られなかったり、プラクティス・セッションのひとつが短縮されたりしたからね」 「でもレースが始まったら、そのことは忘れて、すべてがうまくいくことを祈るだけだった」 エバンスは2周目までにトップ10圏内に入り、アタックモードを活かしてさらにポジションを上げていった。赤旗によりアタックモードを無駄にする不運なマシンもあったが、エバンスはチームメイトのニック・キャシディと同様、2回目のアタックモードを他のマシンよりも遅く、最初の赤旗が出た後に使用した。 「スタートで僕のレースが一気に変わった。中団に入ることができたので、レースをさらに最適化するために集中力をシフトし始めたんだ」 「みんながアタックモードを使い始めると、その進歩ぶりに目を見張るものがあった。だからクレバーな走りをしたかったんだ。自分の直感で、タイミングを計って走ったんだ。全てうまくいった」 29周目のストレートでアタックモードを活かし、チームメイトのキャシディを交わして首位に立ったエバンス。しかし翌周、キャシディとパスカル・ウェーレイン(ポルシェ)が交錯。ウェーレインのマシンがひっくり返ってしまったことで2度目の赤旗が掲示された。 レース再開後の4周は、ポルシェのアントニオ・フェリックス・ダ・コスタ、マクラーレンのテイラー・バーナード、サム・バードを抑えるためにディフェンシブな走りを見せたエバンスは、もうだめだと思った瞬間もあったという。 「最終ラップの最終コーナーでは、もう終わりだと思ったよ」 「レース全体が予測不可能だった。ラスト4周は常にダ・コスタの息が首にかかっているような状況だった。何が起こるか分からなかった」 「もっと落ち着いてレースを終えられたらよかったんだけど……でも、やり遂げた。それが大事なことだと思う」
Stefan Mackley