「清水寺を舞で表現」「カードの香り嗅ぎ分け」…京都の文化をゲームに生かせ
京都の伝統文化や世界観を生かしたテーブルゲームが相次いで登場している。高度な知識を必要とせず、シンプルな道具で誰でも遊べる手軽さが売りだ。文化を次の世代につなぐツールとしても期待されている。(京都総局 岩崎祐也)
ボードゲーム
「講談社クリエイターズラボ」(東京)は京都府と連携し、7月にボードゲーム「能舞神(ノーマイゴッド)」の試作版を作った。プレーヤーは、清水寺や金閣寺、抹茶といった京都にちなむ観光地や名産品など50種類のお題カードから4枚を選び、ボード上に並べる。その中の一つのお題を3種類の「舞」で表現し、他のプレーヤーは舞い終わるたびに正解だと思う場所に持ち駒を置く。早く正解するほど高得点になる。 例えば、清水寺を舞で表現するとどうなるか――。飛び降りるしぐさ(清水の舞台)をしたり、筆で文字を書く様(今年の漢字)を再現したり、正解はなく、それぞれの自由な発想に任されている。 舞うプレーヤーは能面をつける。同社の担当者は「能に親しんでもらう狙いもあるが、言葉や表情なしに体で表現する楽しみを味わってほしい」と話す。 同社は、自治体と協力して地域文化をテーブルゲームに取り入れるプロジェクトを進めており、その第1弾。開発支援を担当する社員(29)は「京文化への理解を深める入り口になれば。完成度をもっと高めて販売したい」と意気込む。
拠点を開設
京都はゲームと関わりの深い街だ。京都市に本社を置く任天堂は花札製造が起源で、テーブルゲームとの親和性がある。経済産業省の統計では、府内の娯楽用具・がん具製造業(人形を除く)の製造品出荷額は全国の3割前後を占める。 ゲーム開発を手がける「グランディング」(福岡)は、こうした土地柄に魅力を感じ、2017年10月に京都市内に拠点を開設した。市内を疑似観光できるボードゲーム「京都ダンガン」や、かつて都を 跋扈ばっこ したとされる百鬼夜行をモチーフにしたカードゲーム「妖怪バカスカ」を相次いで発売し、いずれも2000セットほどを売り上げたという。海外での販売も予定する。 ゲーム開発の責任者は「京都に拠点があることで、独特なテーマや文化を題材にした商品が生み出せる」と語る。