「清水寺を舞で表現」「カードの香り嗅ぎ分け」…京都の文化をゲームに生かせ
認知症予防にも
異分野から参入するケースもある。 お香の老舗「松栄堂」(京都市中京区)は昨年12月、香りつきカードゲーム「くんくんくん」を発売した。3年ほど前、香りが脳に及ぼす影響を調べる産官学の実証実験に参加したことをきっかけに、実験で用いた香りのサンプルカードをゲームに応用した。 3種類の香りがついたカードを嗅ぎ分け、同じ香りのセットや異なる3種類のセットをそろえる。天候や湿度で香りの感じ方が変わる面白さがあり、追加のカードセットも用意するなど専門店の強みを生かす。 家庭用のほか、高齢者施設で認知症予防にも活用されているという。同社の小池暁子販売部長は「日常にあふれる香りをより身近に感じてほしい。香りの奥深さや比較する楽しさを知ってもらいたい」と話す。 テーブルゲームは、デジタルゲームに比べて制作コストが低く、お金をかけずに遊べるのが特徴だ。佛教大の八木透教授(民俗学)は「能面をかぶることで変身願望をかなえたり、昨今の鬼ブームにあやかったりと世相を反映している点が興味深い。『京都の文化とは何か』という未知なる世界への憧れを刺激しているのではないか」と語る。
◆ テーブルゲーム 机上で楽しめる娯楽を指し、ボードゲームのほか、かるたやトランプ、将棋なども含む。ボードゲームは世界中で次々と新作が生まれ、1935年にアメリカで発売された「モノポリー」や、1500万セット以上が売れた「人生ゲーム」(1968年発売)のようなヒット作も多い。教育現場で活用されることもあり、調査会社「グローバルインフォメーション」によると、世界の市場規模は2023年の152億ドルから、29年には299億ドルまで拡大すると見込む。