プロ野球開幕は緊急事態宣言延長で7月以降に…「日本シリーズ12月ドーム開催で120試合確保を」と掛布氏提言
安倍晋三首相は4日、記者会見を開き医療現場の状況改善を理由に「緊急事態宣言」の5月31日までの延長を発表した。対象は全国で、プロ野球が目指していた6月中旬の開幕も困難になった。 当初、NPB(日本野球機構)は11日にJリーグとの「新型コロナウイルス対策連絡会議」、12球団代表者会議を開き、新たな開幕日を決定する予定だった。だが、その方向性も見直さざるを得ない状況になった。開幕日が7月以降に遅れることが必至で、新たなプランが必要になってきた。 開幕を延期しているプロ野球は、すでに5月の交流戦中止を決定していたが、従来のスケジュールで交流戦明けとなる6月19日を新たな開幕日の第一候補に想定していた。現在、12球団は、全体練習を休止しているが、ほとんどの球団は、緊急事態宣言が解除される予定だった7日から全体練習を再開する計画を組んでいた。 この時点で、全体練習を再開し、数週間後に練習試合へと移行すれば、無観客での6月19日開幕は十分に可能だった。だが、緊急事態宣言が5月31日まで延長された状況下では、「特定警戒都道府県」以外の34県で行動制限が一部緩和されるといえど、全体練習を再開する判断は下せない。政府は14日に専門家会議を開き「緊急事態宣言」の解除時期を再検討する方向性も示したが、必然的に、選手の準備は遅れ、開幕日は7月以降にずれることが濃厚になった。 開幕がどんどん先送りになっているが、実は、プロ野球には、シーズンを成立させるためのデッドラインがある。野球協約に本拠地60試合をシーズン成立の条件とすることが記されている。つまり年間で120試合が担保できなければシーズンが不成立となるのだ。 すでに3、4、5月で55試合が中止となり、6月19日から開幕しても、従来のスケジュール通りでは、88試合しかできず、五輪用に空けていた23日間にフルに23試合を入れたとしても111試合で追いつかない。クライマックスシリーズ、日本シリーズを後ろへ2週間ずらして、そこに残りを組み入れれば、最低120試合は維持できる方向だったが、さらに延期となると、いよいよ時間が残されていない。開幕を7月以降に遅らせるとしても、7月3日、7日あたりが限界線となる。 阪神OBで「ハンシン・レジェンド・テラー」の掛布雅之氏(64)は、レギュラーシーズン、クライマックスシリーズを11月末まで行い、選手会と協議の上で、特例として、12月にドームで日本シリーズを行うプランを提言した。 掛布氏は、「プロ野球にとっては、非常事態ですから。思い切った発想の変換が必要ではないでしょうか」と声をあげた。