落合打撃からもヒント!東大野球部新監督の元中日・井手峻氏は42連敗中の東京6大学最弱チームをどう改革するのか?
東大の変わらぬ伝統とは何ですか? そう聞くと井手監督は「なんでしょうね」と返して間を置いた。 「今だに勝てない。そこじゃないの?」と笑う。 そして「一度でも優勝しない限り東大が6大学にいる意義はない。負けているだけでは」と厳しい顔した。 文武両道の鏡とも言われてきた。 「文武両道の模範のように言われるが、もっと太刀打ちしないと文武両道は語れない。来年は101周年を迎えるが、私は、今なお、本来の東大野球部が6大学に存在する意義は果たしていないと思う。目指してはいるが」 だから勝ちたい。 東大からは、自らも入れて過去に6人をプロの世界へ送り出している。日ハムに7位指名された大型左腕の宮台は来季が3年目。今季は1試合も登板機会はなかった。 プロを知る井手監督は、7人目のプロについては「それは目標にはない」と言う。 「そうなれば、そのとき。目標は勝つことだよ」 まだ選手にはリーグ戦の目標は伝えていない。 まず連敗ストップなのか、勝ち点なのか、最下位脱出なのか。 「開幕からうまくいったら、優勝狙いますよ。どんどんいくぞ、と」 寒風が吹き抜けるコンクリート作りのスタンドでポートレートを一枚撮らせてもらった。 東大の帽子をきりっと被った井手監督に「プレッシャーはありますか?」と問うと、「ありますよ。楽しむ余裕なんかとてもない。でも、何かは少しずつ変わるんじゃないかな」と、優しい笑みを返してくれた。最後の団塊の世代。元プロ監督の挑戦が始まった。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)