落合打撃からもヒント!東大野球部新監督の元中日・井手峻氏は42連敗中の東京6大学最弱チームをどう改革するのか?
「投手を中心とした守備走塁を隙なくやるチーム。三塁走者のゴロゴーの徹底などヒットがなくても1点を取る。難しくないことを全員ができるようにしたい。ランダウン、内外野の中継、カバーリング、ファーストの連係などをうるさく見たいね。東大はミスをしないというチームになれたらいい。教科書に書いていることはできているチームにしたい」 問題は打撃だ。春秋通じて0勝20敗だった今季のチーム打率は1割台だった。 そこで井手監督は、ある取り組みを始めた。 「ずっとチーム打率が低い。2割5分は欲しい。甘い真っすぐと甘い変化球の両方を打てるバッティングを身につけることをスタートした。真っすぐを狙っていると、甘い変化球を見逃す。両方を打てるバッティングを探そうと」 ヒントになったのはメジャーのバッティング傾向だ。 井手監督が調べたところによると、メジャーでアベレージを残すバッターは、ストレートはセンター方面へ、そしてスライダー、チェンジアップなどの甘い変化球はレフトへ引っ張っているケースが多いという。 目指すのは、そのスタイル。 中日時代に旧知の落合博満氏のバッティングをイメージした。 「落合は、まずインコースを無理に引っ張ったりしない。それをやるのはオールスターでの東尾や野茂との対戦のときだけ。“打率を稼ぐならセンター返しですよ”と言っていた。ホームランは、あの頃からフライボール革命のような打球をあえて狙って打っていた。ライトへでもね。でもそこは学生には無理」 バッティング練習では、3か所のうち1か所は、あえてストレートと変化球のミックスを投げさせて対応力を磨かせている。 井手監督が、東大野球の軸にするつもりの投手陣は、現在、21人いるが、一人で奮闘していた小林大が卒業。来季は再編しなければならなくなった。徹底したいのは、投げ込みによってフォームを固め、コントロールをつけること。 「ピッチャーは自分で投げ込んでコントロールをつけるしかない。他のポジションとは違う。フォームの幅が、ホームベースの左右に対してぶれない、いわゆる“ライン“を固めさせたい。投げ込んで壊れるか、”ライン”が出るか。それくらいやらないとね」 東大は、春のキャンプでは月間2000球ほど投げ込むらしいが、日に100球以上の投げ込みを行うことが少なく、そこが不満だという。