日本の党首討論がライブ検証されないのはなぜ 選挙に関する日米台のファクトチェック比較【解説】
総選挙が始まりました。10月15日の公示から27日の投開票日まで、わずか12日間の短期決戦です。各メディアなどで党首討論が相次いで実施されましたが、アメリカなどで見られる発言のライブ検証はありませんでした。日本と他国のファクトチェックや偽・誤情報の傾向の違いを解説します。
米大統領選のファクトチェック
民主党のカマラ・ハリス副大統領と共和党のドナルド・トランプ前大統領の2候補が争うアメリカ大統領選。候補者が直接対決する恒例のテレビ討論会は9月10日夜(現地時間)に実施され、大手メディアやファクトチェック機関が2人の発言を細かく検証した。いくつかの事例を並べてみる。 Fact-checking Kamala Harris and Donald Trump's 1st presidential debate (ABC) Fact-checking the presidential debate between Trump and Harris (NBC) Fact checking debate claims from Trump and Harris' 2024 presidential faceoff (CBS) NPR fact-checked the Harris-Trump presidential debate. Here's what we found (NPR) Fact check: Donald Trump, Kamala Harris debate on ABC News (CNN) 世界的な注目を集める選挙だけに英BBCなども独自にファクトチェックをしていた。これらのファクトチェックからは、トランプ氏の発言に誤りが非常に多かったことがわかる。
トランプ発言の多くに明確な誤り
米候補者討論会で両者の発言を55箇所も検証したワシントン・ポストのファクトチェック記事「Fact-checking 55 suspect claims, mostly Trump’s, in debate with Harris」を見てみよう。 明確な誤りや一部が誤りなどと判定されたのは、トランプ氏が36箇所、ハリス氏が7箇所あった(筆者=古田が集計)。細かく見ると、ハリス氏へは「一部が間違い」「印象操作」「古い話」などの判定が並ぶ一方で、トランプ氏へは「すでに何度も否定されている」「馬鹿げた中傷」「まったく根拠がない」など、より強い言葉で誤りを指摘している。 ワシントン・ポストの記事を書いたのはベテランのファクトチェッカーとして知られるグレン・ケスラー記者だ。彼がトランプ氏に厳しく、ハリス氏に甘く検証しているのか。実際の発言とケスラー記者の検証の概要を並べてみる。