なぜ”レジェンド”宮本恒靖氏を電撃解任したガンバ大阪は新体制初陣で浦和レッズに完敗を喫したのか?
急きょバトンを引き継いだ松波監督は、前節から先発メンバーを2人変更した上で[4-2-3-1]を選択。1トップの一美和成の背後に左から宇佐美貴史、倉田、5試合ぶりの先発となった新加入のチアゴ・アウベスを並べた意図をこう説明した。 「相手のビルドアップに対してしっかりとハイプレスをかけて奪うという狙いと、(ウチの)フォワードと中盤の間が少し開く傾向があったので、そのあたりでボールを引き出せる選手を一人置いて、相手の中盤を寄せたなかでのワイドからの崩しを考えました」 浦和ボールになれば一美と倉田が横関係でプレスをかけ、マイボールになれば縦関係に転じる。しかし、リカルド・ロドリゲス新監督のもと、相手の出方を見ながら選手が立ち位置を変える戦い方を熟成させてきた浦和にすぐに対応されてしまう。 左利きのチアゴ・アウベスには右サイドからのクロスやパスを期待したが、ガンバの逆手を取り、逆にサイド攻撃に照準を合わせてきた浦和の前に中途半端なプレーに終始。結局、前半途中で倉田とポジションを入れ替えたチアゴ・アウベスは、0-3で迎えたハーフタイムにユース出身の19歳、FW塚元大との交代でベンチへ下がっている。 前半をピッチの外から見ていた塚元は、いま現在のガンバが抱える課題を間近で感じ、自分の特長を生かすことで変えたいと言い聞かせながらプレーしたと明かす。 「今日もボールを持っている選手に対して、サポートする周りの選手が止まっているというか、そういう感じがしたので。いまは個人でクロスを上げる場面が多いなかで、僕としては(相手の)間でボールを受けて、そこからドリブルで仕掛けるとか、そういうプレーを出していけばチャンスに繋がり、得点が近くなってくると思っていました」 前半途中までのガンバは「前へ」を意識しすぎるあまり、攻守両面で空回りしてしまった。失点を重ねてからは時間の経過とともに攻撃が単発になり、ボールは保持するもののリスクを冒したパスを放てない、これまでと変わらない悪癖が顔をのぞかせた。