産後リカバリープロジェクト事務局幹事の柴田笙子さん 出産後は大けが並み、休養を 月刊Biz・みんなのDEI
大手広告会社、大広(大阪市北区)の「大広フェムテック・フェムケアラボ」でプランナーを務める柴田笙子(しばた・しょうこ)さんは、令和4年に複数企業で産後ケアの重要性を広げる「産後リカバリープロジェクト」を立ち上げたメンバーの一人だ。産後ケアの実態や企業の枠を超えて啓発する狙いを聞いた。 ――立ち上げのきっかけは 「プロジェクトの前身は神奈川県未病産業研究会の休養分科会での活動で、ここで『台湾の産後ケアがすごい』と知ったことが始まりだ。共働きの多い台湾には出産休暇に加え、産後1カ月間、母体を休ませる『坐月子(ズオユエズ)』という風習があり、ケアセンターやシッターなどの民間サービスも充実している。日本も見習いたいと思った」 ――各社に参加を呼びかけた 「産後ケアの啓発は、休養の重要性を理解してもらうのに最適なテーマだと考え、早期に広めたかった。まずは当時分科会に参画していた企業4社が集まって、プロジェクトを立ち上げた」 ――産後ケアの実態は 「プロジェクトが男女10万人を対象に行った調査では、休みたくても役割があって休めないと感じている人が女性全体で約4割、産後期になると6割を超える。産後の体は、大けがと同じくらいダメージがあるにもかかわらず、ケアが行き届いていない」 ――啓発に取り組む意義は 「妊娠・出産経験のない女性に、出産や産後のイメージを聞いたところ、『大変』と回答した人が83%、『幸せ』は51%だった。私たち若い世代が出産をネガティブに捉えず、幸せと思える社会を作りたい」