勝ち点「3」か「1」か…残り55秒での決断「自分を責めている」ラスト15秒で敗れた指揮官の苦悩|フットサル
【Fリーグ】バルドラール浦安 3-4 シュライカー大阪(11月30日/バルドラール浦安アリーナ) 【映像】指揮官が“語り尽くす”バルドラール浦安が首位にいる理由 11月30日、Fリーグ2024-2025 ディビジョン1の第17節が行われ、バルドラール浦安とシュライカー大阪が対戦。浦安は3-4で敗戦し、今シーズン二度目の黒星を喫した。 38分、同点に追いつかれた浦安は、残り55秒でタイムアウトを取った。選手を集め、小宮山友祐監督が下した決断は“パワープレー”。あくまで、最後まで勝ち点「3」を狙う選択だった。 しかし、パワープレー開始から40秒、ボール回しから細かいミスが生じ、相手GKがボールをキャッチ。カウンターから失点を許すと、ホームで勝ち点を逃した。 「やらないほうが良かったか……」 試合を終え、自分の決断を苦い表情で振り返った浦安の指揮官が、記者会見に出席した。
勝つべくして勝つことは一番難しい。
──試合を振り返って。 痛い敗戦となりました。勝ち点3がほしかったですが、今日の試合は立ち上がりからあまり良くなかったと感じています。シュートを倍以上打っているなかで決めきれないという展開は、流れ的に怪しいかなとは思っていました。 どの試合もそうですが、決めるところで決めて、守れるところで守ることが大事になります。(試合の途中で)うまくいっていない部分を修正したつもりでいましたが、警戒していたものからの失点や、シュートを決めること、セットプレーのディフェンスなどに課題がありました。 最後のパワープレーは私の責任です。選手たちがどう感じたかはわからないですが、自分たちはパワープレーをする姿をほとんど見せていないので、初見では絶対に崩せると私は思っていました。引き分けも頭によぎりましたが、タイトルを取るには一つも落とせないという思いがありました。 今回はできなかったことのほうが少ないと思うからこそ、本当にもったいない試合でした。いつも言っていますが、自分たちはまだなにも成し遂げていません。課題の修正を徹底しないと、また同じことの繰り返しになります。受け止めなきゃいけないことはたくさんありますし、選手たちもきっと受け止めていると思います。 勝ち点3は失いましたが、まだリーグは続くので、切り替えて次の仙台戦に向かいたいと思います。 ──今日の試合で「良くなかった」と感じたのはどのような部分になりますか? 外から見ている感じでは、自分たちが「これをやろう」と話していたことが、できていた時とできなかった時の差が大きかったと感じています。 できないの種類にも「やっていてうまくいかない」と「やろうとしていない」があって、そのどちらだろうと思って見ていましたが、やっていないほうなのかな、と。「もうちょいやりゃいいのにな」と思っていました。 特にファーストセットは自分たちで崩せる自信もあったのだと思います。でもそれがあまりうまくいかず、見ていて手詰まり感を感じました。セカンドセットはロドリゴと田中(晃輝)で3点取りましたが、割り切ってやることを徹底して、シンプルにこちらがオーダーしたことをやってくれていたと思います。 ただ、そこは選手たちの責任ではなく、私がちゃんとやるべきことを伝え切れていなかった責任ですね。 また、自信をもって自分たちのスタイルを貫けることは、いい部分でもあると思います。ただ、やるからにはやはり結果が問われます。特に1失点目は失い方も悪かったですし、もったいなかったかなとは思いますよね。やれる自信があることはすごくいいことだと思うし、難しいところです(苦笑)。 ──今日の試合は、シュートチャンスもたくさんありました。 名古屋のようなチームは、こういう試合で絶対に点を取ります。「惜しかったよね」という試合がないところが、タイトルを獲るチームの強さです。 以前もお話ししたように、上位チームでも、自分たちと順位が離れているチームでも、同じ勝ち点3です。そこをしっかり取り切れなかったのがまだまだだなと感じています。 まだ細かい修正点は完全には把握できていないですが、ビデオを見返してわかることもあると思います。大方うまくいっていたからこそ、うまくいっていない部分はすごく些細なことのような気がするので、選手たちとしっかりコミュニケーションを取ることは必要になってくると思いますね。 ──第2ピリオドから、ファーストセットにレアンドロ選手ではなくて空涼介選手を入れて、石田健太郎選手を低い位置に入れていましたが、それはどのような意図でしたか? レアンドロが仕掛けて失うことが立て続いていたので、今日は調子が良くないのかな、と。今節の相手に関しては、1対1で仕掛けるよりも、ボールをしっかり循環させて、狙いどころをつくことがポイントでした。 だからそこまで何回もボールを触る必要はなく、逆にボールを持ってしまうと流れが悪くなってしまう。空もすごくいい選手ですし、彼が入ったことで一気に循環はしたと思います。 もちろん長いシーズンであれば、いい時も悪い時もあるので、たまたま今日はレアンドロの日じゃなかっただけです。彼のおかげで勝っている試合もありますし、そういう日だったのかなと思います。 ──石田選手が低い位置に入ったことでの安定感もありますが、アラにいるからこそ生まれる推進力は少し減ってしまったようにも感じました。 そうですね。おそらくですけど、空も健太郎も、菅谷(知寿)もタケ(本石猛裕)も、レアンドロも吉田(圭吾)もそうですけど、みんな足元でボールを触りたいんですよね。 でもそれだけだと詰まってしまうという話はして、だから誰かが出ていく必要があるし、健太郎が出ていってもいいということは伝えているんですけど、試合になるとなかなか出ていかないですね。 長坂(拓海)やロドリゴはどんどん前に出ていくので、あれはあれで脅威じゃないですか。ならばと、長坂を1回こっち(ファーストセット)に入れたりもしましたけど、40分間出すわけにもいかないので、そういうところはバランスを見ながらですね。 ファーストセットは、裏への抜け出し以外の前進できる術を自分たちのなかでもっているので、今日は調子が悪かったなと思っています。 ただ、調子が悪いで済ますのか、自分たちになにが足りなかったのかを見つめ直すかは大きな違いです。大阪のディフェンスも出てきたり、引いたりしてやりづらかったとは思いますが、フリーランの回数は少なかったですし、課題と向き合っていけたらと思います。 ──練習から大阪のパワープレーを警戒していましたが、そこから失点してしまったことについてはどのように考えていますか。 練習でできていることが、試合でそのまま出せるかというと、難しいですね。1点差は追いつかれる可能性があるので、その点差で試合終盤を迎えるのはすごく嫌でした。 でも、ことごとくこちらがチャンスを外して、1点差で試合が進む流れからして「やべえ」という気持ちはありました。案の定、同点にされて……すごくへこんだわけではないですけど、流れはもっていかれたと感じました。 そうなった時にどうゴールを奪うかは2つあって。一つはイゴールを使ってラインを上げるのと、もう一つはパワープレー。すごく悩んで、結果としてパワープレーを選択しましたが、失敗しているのでやらないほうが良かったなと思っています。すごく反省して、今は自分を責めています。 ──中断前に唯一敗戦した第6節の湘南戦でも、引き分けの状況でパワープレーを選択していたと思いますが、それは浦安の最後まで勝ちにいく姿勢の表れかなと。 それは、もちろんそうですし、今回もそうです。うちがどんなパワープレーをするかはわからないと思ったので、絶対いけると思いました。正直、あんな形になるとは思いませんでしたし、結果論ですけどもイゴールを使って普通に攻めたほうが点を取れたかなとも思います。 なにより最後は、勝ち点1でいいと思えなかった私の責任ですよね。結果論ですし、点が入っちゃえば全然違うことを喋っていると思いますが……悔しさしかないですね。 もったいないですよね。今後、試合を重ねて僅差の勝負になってきた時に「勝ち点1を取っときゃ良かったな」って、俺が一番後悔するんですよ。流れがうまくいってなかったんだったら「1」取っとけばって。 ホームゲームの難しさもあるかもしれません。みんなにいいとこを見せたいのもあるし、それは俺もそうだと思うんですよね。勝たなきゃいけない、と。例えばこれがアウェイだったら、引き分けでもいいと思えたのかなって……わからないですけどね。 最後タイムアウトを取った時に「今日は勝ちにいくよ」という話しをして。大体「勝ちにいくよ」と言うと勝てないので、言わないほうがいいですね(苦笑)。「普通にやれ」と言ったほうがいいなと思いました。 とにかく今日は、勝ちたかったなというところです。目の前の相手に、ちゃんと勝たないと。いやー、悔しいっすね。そこはもうずっと、苦しみながらやっていくしかないのかなと思います。 ──湘南に負けた後は町田に5-0で勝利していました。今回負けて、次はアウェイで仙台との対戦になりますが、試合後どんな言葉を選手たちに伝えましたか? 試合後、選手たちに言ったのは、先週の北九州もそうですし、これからは最初からパワープレーをしてくるチームもあるかもしれません。真っ向勝負というよりかは、セオリーと違うことをやってくることが想定されるなかで、もう順位は関係ないんだと。 1位だから勝てるとか、最下位だから勝てないというのはないし、そんな簡単なリーグじゃない。次の仙台戦に向けて、勝ち点3を取るために気持ちを切り替えてほしいと伝えました。私はあと8時間くらいは引きずりますが……。 でも勝ち点はもう戻りません。だから、この負けをどう次につなげていくかだと思うんですよね。 今日の試合は、決して全部がダメだったわけではありません。ただ、勝つべくして勝つことは、一番難しい。心の緩みや油断はないと思いますが、人の心の中はわからないのでね。 だから、私の中の基準とチームのモデル、それに合っているか合っていないか。それができているかできていないか。そういうところで選択して進んでいくしかないと思います。